年金世帯「非課税」利点と注意点

ふあん
さん

65歳以降で年金世代になった時、住民税非課税世帯になった方が得だという話を聞きました。でも、住民税非課税なので収入がそれだけ低いわけだし、困窮した生活に何がお得なのかがよくわかりません。

FP
やまぎし

住民税非課税とは年金収入が相応に少ないので、それだけでは生活は困窮します。ただ、多くの配当金等を受け取りながら住民税非課税のメリットを享受している方もいらっしゃいます。住民税非課税の利点と注意点をお話しします。

住民税非課税世帯とは

文字通り住民税がかからない世帯のことです。今回は現役世代の方の話は省き、あくまで60歳代以降の方に絞ってお話しします
厚生労働省の国民生活基礎調査で住民税非課税世帯は60歳代で19%、70歳代で35%にのぼります。

住民税非課税世帯のメリット

医療費の上限が月35,400円になったり、2024年年度の定額減税制度が通常4万円から7万円に増額されたりします。

住民税非課税になる年金収入の基準

暮らしている地域によって非課税になる収入の上限が変わってきます。そのため、ご自身が住んでいる場所の等級がどの等級なのか事前に調べておくのもいいですね。Wikipediaでも調査できますので、下記リンクから調べてみて下さい。

注意点

住民税非課税世帯になるために、年金を繰上げ受給にすればいいのではと考えられる方もいらっしゃるかと思います。
年金の繰上げ受給とは通常の65歳からの年金受給ではなく、期間を1ヶ月繰上げするごとに年金額が0.4%減額され、その後一生金額が続く制度です。
例えば、本来年間250万円の年金の方が、40ヶ月繰上げとすると211万円未満になるということです。

繰上げ受給をすることで当然デメリットもあります。
・厚生年金と基礎年金はセットで繰上げが必要(どちらかを繰上げにすることはできない)
・障害基礎年金が受給できない(怪我や病気で障害が残った場合の年金)
・遺族厚生年金と自身の基礎年金の併給ができない
・60から64歳までの寡婦年金がもらえない

また、せっかく住民税非課税世帯の上限年金収入金額未満になったのに、制度変更で該当しなくなる可能性もあります。

株式譲渡益や配当金で豊かな暮らしへ

年金収入だけでは暮らしに困窮してしまいます。そのため、住民税を非課税にしたりして優遇措置がされています。でも生活へのゆとりもほしい。そんな方に必要なのが株式投資なのです。株式の譲渡益(売った儲け)や配当金は特定口座等で源泉徴収の分離課税ですから、住民税に関係する総所得を抑えながらも収入を増やすことができます。NISA口座でも同じです。

つまり、住民税非課税によるメリットを享受しながら、株式による配当等で豊かな暮らしができるのです。非上場会社の株式や確定申告をして総合課税にする等は今回は除き、あくまでオーソドックスなお話としてまとめさせていただきました。

準富裕層と言われる5,000万円の株式や投資信託を保有し、年間4%の配当や譲渡所得がありますと年間200万円、月16万6,000円になります。仮に2級地に暮らしてご夫婦で年金収入が年間200万円、同様に月16万6,000円の収入がありますと、配当金等と合わせ月33万2,000円になりゆとりのある生活が可能になるかと思います(総務省家計調査では高齢夫婦の平均支出は月27万円弱)。しかも、住民税非課税世帯の優遇も享受してです。

今から始めるコツコツ投資は年金収入が減額されていく可能性が高い将来には、必要な準備だと思います。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者