丸の内・三菱一号館美術館で開催中の「カフェに集う芸術家展」に行ってきました。19世紀後半のパリを生きた印象派の画家たちと、彼らが集ったカフェをテーマにした展覧会です。
カフェは芸術家たちの「戦場」だった
19世紀後半のパリでは、カフェは単に飲食をする場所ではなく、画家や詩人たちが芸術論を戦わせる「いわば戦場」でした。新しい表現を模索する者同士が集まり、議論を重ねる中で作品が磨かれていく——そうした環境で生まれた作品は、どれも挑戦的で、新しいものを追求する探訪者のような気配をまとっています。
会場には、マネ、ルノワール、シスレー、ロートレック、モネ、ドガ、ピカソなど、錚々たる顔ぶれの作品が並びます。
印象派の中でひっそりと——ゴッホの作品

その中にちょっとひっそりと、ゴッホの作品も展示されています。周囲を固める印象派の画家たちの作品を前にすると、ゴッホの絵がどこか萎縮しているようにも見えてくる——そう感じさせるほど、会場全体の印象派絵画の強烈さが際立っていました。
カフェの雰囲気そのものが伝わってくる展示

作品の多くがカフェをモチーフにしているため、会場には当時の街の雰囲気がそのまま漂っているように感じられます。長居をしてもつい居心地がよくなってしまうような、そんな空気感のある展覧会でした。
ピカソの「青の時代」、モジリアーニの孤独

ピカソの「青の時代」の作品も展示されています。華やかさとは一味違い、怖いほどの寂しさに引き込まれる一枚です。近くにはモジリアーニの、どこか寂しさを湛えた作品も一緒に飾られており、二人の作品が呼応するように、一種独特の感覚に陥ります。
シスレー、モネの眩しい陽光

一方で、シスレーやモネの作品には、眩しいくらいの陽光のある風景画も。ピカソやモジリアーニの静謐な寂しさとは対照的に、光と色彩の豊かさを味わえる一角でした。
マドレーヌのカフェ、そしてロートレックのポスター

マドレーヌ広場のカフェを描いた作品からは、当時の街の様子がうかがえます。また、ロートレックによるムーラン・ルージュ紹介のポスター作品も見どころのひとつ。単純な線だけで人を惹きつける構成力があり、その力強い線は、日本画の酒井抱一を連想させるものでした。

展覧会のあとは、カフェでひと休み

三菱一号館美術館には併設のカフェもあり、鑑賞後にそのまま立ち寄ることができます。あるいは丸の内界隈のカフェを巡ってみるのもおすすめです。美術館の帰りに近くのカフェに寄りながら、絵画の余韻に浸る時間もまた、この展覧会の楽しみ方のひとつだと思います。
本記事は筆者が実際に展覧会を鑑賞した感想をまとめたものです。開催期間・展示内容の詳細は三菱一号館美術館の公式サイトでご確認ください。
