「笠間日動美術館」画廊の珠玉コレクション

 FP
やまぎし

茨城県笠間市にある美術館の紹介です。自然に囲まれた美術館はゆったりした時間が流れ、美術品と語り合える雰囲気があります。車がないとなかなか行きづらい場所ですが、1日をかけて行く価値はあるかと思います。

銀座の日動画廊 創設者による美術館

1972年に日動画廊創業者の長谷川仁氏により、郷里の茨城県笠間市に創設された。敷地内には、 「鴨居玲の部屋」を併設し、ピカソや藤田嗣治をはじめとする国内外の著名画家の展覧会を開催する企画展示館、 おもにフランス美術を常設するフランス館、「金山平三・佐竹徳記念室」を併設し、画家が愛用したパレットを常時200点以上展示する日本館 、日本の著名彫刻家によるブロンズ像が佇む野外彫刻庭園があります。

施設は日本館・フランス館・野外庭園・企画展示館にわかれており、全体を見るためには2〜3時間は時間を要します。

パレット絵画

洋画・日本画と素晴らしいものが多いのですが、笠間日動美術館ならではと思わせるのは画家パレットに描かれた作品の展示です。200点以上の作品(パレット)が展示されており圧巻です。

画家のパレットへの絵画は画家の日頃の筆使いだけでなく、息遣いも感じます。性格などの内面性も出ますし、絵画とは違い絵の具の使い方もなんとなく感じられます。自然を描いたり、自画像や人を描いたり様々ですが、いつもの作品とは違う画風にになっていたりもします。

私がなんと言っても好きなのが、絵の具の香りがすることです。絵画とは違い、絵の具の生々しさと乾ききっていない雰囲気もあり、そこに画家がいて、絵画を画家が今描いているような雰囲気もあります

このような体験をできるだけでも訪れる価値はあると思います。

日本館

1〜5階まであり、1階がパレット展示、2階は小品展示として国内の彫刻家や画家の彫刻品を主に展示しています。

3階は「金山平三・佐竹徳記念室」を開設されています。様々な美術思潮に惑わされることなく、清澄な色彩と闊達な筆致で気品溢れる名作を生み出した金山平三と佐竹徳の作品を展示しています。

5階は2017 年、文化勲章を受章し、名実ともに 21 世紀の日本洋画界を代表する画家、奥谷博氏の展示室になります。「風生」「阿修羅」の色使いやコンセプトに圧倒される展示室になっています。

フランス館

1階は創設者を顕彰する意味を込めた長谷川仁・林子記念室、デッサン室、ミュージアムショップがあります。

記念室では夫妻に縁のある品や愛蔵品、また夫妻の業績を残す資料を中心に展示しています。長谷川家伝来の蒔絵や螺鈿の細工を施した豪華な篳笥、漆器類なども展示しています。

デッサン室には、スーラのコンテ、ルドンのパステル画、ドンゲンの水彩画など小さいながらも名品があります。

2階では、日本の近代絵画に大きな影響を与えたヨーロッパ印象派からエコール・ド・パリへと続くフランスゆかりの著名画家の作品を幅広く常設展示します。印象派の始祖モネ、ドガ、ルノワール、後期印象派のゴッホ、セザンヌ、親密主義のボナール、現代絵画を指向したマチス、20世紀の美学革命を果たした立体主義のピカソ、また第一次大戦後から第二次大戦の束の間にパリに花開いたエコール・ド・パリの画家シャガール、ローランサン、スーチン、フジタなどがあります。

創設者長谷川仁氏のご子息長谷川徳七氏の妻女、智恵子氏をモデルとしたアンディー・ウォーホルのポップアートもグッと心に突き刺さりました。(写真撮影不可)

屋上からは笠間の街並みも見ることができます。気候が良ければ、ここで時間を過ごすのもいいかもしれません。

野外彫刻庭園

木内克<エーゲ海に捧ぐ>、本郷新<冬の像>、清水多嘉示<メディタッション>、柳原義達<道標一鴉>、舟越保武<原の城>、淀井敏夫<夏、流木と女>など、我が国の具象彫刻界を代表する作家のいずれも代表作品といえる秀作19体が、竹林や四季折々の花樹を背景に展示されています。

企画展示館

年間を通じさまざまな特別展を開催します。1階は可動パネルを備えた絵画中心の展示室、2階は重要美術品、日本画の軸装、各種工芸品の総合展示も可能な大型ガラス陳列ケースを備え付けており、洋画、日本画、彫刻、写真、工芸と幅広いジャンルの展覧会を開催しています。

鴨居玲の部屋

 「鴨居玲の部屋」を企画展示館1Fに開設しました。2015年7月1日、鴨居玲の画業を永遠に顕彰するため、未完の自画像やデッサン帳、身の回りにおいていた愛用品などを展示する「鴨居玲の部屋」。画家の部屋を再現により、画家がどのような生活をしていたかを想像することができます。

鴨井怜の絵画は暗く陰気な感じや狂気を感じる時もあります。しかし、画家の部屋を垣間見ることで、画家の本当の性格や好み、生活や絵画に対する葛藤がこの画風になったのではと感じられました。このような展示は他の美術館では少なく、創設者や画廊の方々の絵画ではなく画家の人間性を表現し、残していきたいとの考えを感じることができます。

施設情報&アクセス

​<住所>

〒309-1611  茨城県笠間市笠間978番地の4

​<お電話>

0296-72-2160

​<アクセス>

JR常磐線「友部駅」より周遊バスまたはタクシー約15分。水戸線「笠間駅」より徒歩約20分。「笠間駅」より市内循環バス「日動美術館入口」下車徒歩2分。常磐自動車友部JCT経由北関東自動車道「友部I.C.」より国道355線経由約10分。

​<営業時間>

開館:3月~11月 9:30~17:00(入館は16:30まで)
12月~2月 10:00~16:30(入館は16:00まで)

休館:展示替期間・年末年始、月曜日(但し、祝日の場合翌日)

​<入館料>

大 人  1,300円  (20名以上団体 1,100円)
65歳以上 1,000円  (   〃   800円)
大高生  900円  (   〃   700円)
中学生  300円(    〃    100円)
小学生以下  無料

まとめ

銀座 日動画廊が運営する美術館。国や自治体が運営する美術館とは違い絵画だけでなく画家を全面に出した美術館と感じました。

全部見て回るには数時間要します。笠間は陶芸や栗の生産地としても有名です。ぜひ、芸術とお腹を満喫させる旅として一度行かれてみることをお勧めします。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者