年末調整の季節です——仕組み・対象・書類・見落としがちなポイントを、FPがやさしく解説

こんにちは、独立系FPの山岸です。10月も終わりに近づき、会社から「年末調整の書類を配ります」という案内が届く時期になりました。今日(10月28日)の日本経済新聞の夕刊「ニュースぷらす」でも、年末調整の仕組みと対象、控除が、取り上げられていました。

毎年のことですが、「書類の書き方が、よくわからない」「何を添付すればいいの?」と、悩む方は多いと思います。年末調整は、お金が戻ってくることもある、大切な手続きです。今日は、この時期にぴったりのテーマとして、年末調整を、図と表でやさしく説明します。10分ほどで読めます。

年末調整とは?

会社員は、毎月のお給料から、会社が所得税を、概算で天引きしています(源泉徴収)。でも、1年の終わりに計算し直すと、天引きした額が、本来の税額と、ずれていることがあります。そのズレを、会社が代わりに精算してくれる手続きが、「年末調整」です。

年末調整の仕組み
いつ何が行われるか
毎月給料から、所得税が、概算で天引きされる(源泉徴収)
年末控除証明書や、控除申告書を会社に提出する。会社が、正しい所得税を計算して精算する
精算の結果天引きが多すぎたら還付(戻る)、少なかったら不足分を徴収される
税務署への手続き会社が、従業員に代わって、申告・納税をしてくれる

年末調整の対象になる人・ならない人

年末調整の対象になる人・ならない人
区分例
対象になる人1年を通じて同じ会社に勤務/転職などで年の途中に入社し、年末まで勤務/12月の給与を受け取ってから退職/勤務先を死亡で退職
対象外の人年収が2,000万円を超える人/年の途中で退職し、その後、会社に勤めていない人

転職された方は、前の会社の「源泉徴収票」を、新しい会社に出せば、年末調整をしてもらえます。忘れずに、前の会社から受け取っておきましょう。

年末調整のスケジュール(目安)

年末調整のスケジュール
時期やることポイント
10〜11月会社から、書類が配られる書き方の案内も、あわせて確認する
10〜11月保険会社などから、控除証明書が届くハガキや、電子データで届く。なくさずに保管
11月〜12月初旬申告書に記入して、会社に提出提出期限は、会社ごとに違う。必ず会社の案内を確認
12月(または翌1月)会社が計算して、給与で精算還付があれば、給与に上乗せされることが多い
翌年1月ごろ源泉徴収票を受け取る確定申告・転職・ローンの審査などで必要。大切に保管

会社に出す書類(申告書)

会社から配られる申告書には、主に、次のものがあります。名前が長いので、驚くかもしれませんが、書く内容は、ひとつずつ見れば、難しくありません。

書類(申告書)何を書く?ポイント
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書扶養している家族の情報家族に変更があった場合は、必ず書く
基礎控除申告書・配偶者控除等申告書・所得金額調整控除申告書(1枚にまとまっている)基礎控除、配偶者控除・配偶者特別控除、所得の見込み本人と、配偶者の、1年間の収入(所得)の見込みを記入
給与所得者の保険料控除申告書生命保険料・地震保険料・社会保険料・小規模企業共済等掛金の控除保険会社などの控除証明書を添付
住宅借入金等特別控除申告書(2年目以降の住宅ローン控除)住宅ローン控除税務署から届く申告書と、ローンの年末残高証明書を提出

受けられる控除と、必要なもの

年末調整で受けられる控除と、必要な書類
控除必要なもの
扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除家族の収入(所得)の見込みを記入
基礎控除申告書に記入(ほぼ全員が対象)
生命保険料控除・地震保険料控除保険会社の控除証明書を添付
社会保険料控除国民年金など、自分で払った分の証明書
小規模企業共済等掛金控除(iDeCoなど)掛金の払込証明書を添付
住宅ローン控除(2年目以降)年末残高証明書と、申告書
障害者控除・ひとり親控除・勤労学生控除該当する場合に、申告書へ記入

記事では、「親も扶養控除の対象になることがある」という点も、紹介されていました。親を仕送りなどで支えている方は、申告し忘れがないか、確認してみてくださいね。

2026年分の年末調整、ここが違う(要確認)

2026年分(令和8年分)は、基礎控除や給与所得控除の見直しが、反映されるため、「いつもと違う」点があります。報道や解説では、所得税がかかり始める目安が、給与収入のみの場合で、178万円になる、とされています。

ポイント内容
税額の精算見直しの効果は、2026年分は、年末調整で精算される、と説明されています(毎月の源泉徴収への反映は、2027年1月分から、との解説があります)
配偶者・家族の収入の基準収入の基準が、見直されている場合があります。申告書の記入欄の案内や、会社の説明で、確認しましょう
時限措置一部は、令和8年・9年分の、期間限定の見直しとされています

※細かい内容や金額は、会社の案内、国税庁の最新の情報で、必ず確認してください。

よくある、見落としポイント

見落としやすい点どうすればいい?
控除証明書を、なくした保険会社などに連絡して、再発行してもらう
家族の収入の見込みを、間違えた1年間の収入の合計で、見込みを確認する。迷ったら、会社の担当者へ
転職したのに、前の会社の源泉徴収票を出していない前の会社に依頼して、新しい会社へ提出する
副業の収入がある会社に提出する申告書とは別に、副業の所得が、年20万円を超える場合は、確定申告が必要
ふるさと納税をしたワンストップ特例を使わない場合は、確定申告が必要。年末調整には含まれない
医療費がたくさんかかった医療費控除は、年末調整ではなく、確定申告で受ける
提出期限に遅れた早めに会社に相談。間に合わなければ、確定申告で精算できる

年末調整で終わらず、確定申告が必要なケース

年末調整で終わらず、確定申告が必要なケース
分類具体例
確定申告が必要な人年収が2,000万円を超える人/副業の所得が年20万円を超える人/年の途中で退職し、再就職していない人
年末調整では受けられない控除医療費控除、雑損控除、1年目の住宅ローン控除

確定申告は、翌年2月16日〜3月15日(例年)に、自分で行います。詳しくは、別の記事で、やさしく解説しています。忘れてしまった場合も、還付申告なら、翌年1月1日から5年間、申告できます。

FPからの、ひとこと——準備のコツ

  • 控除証明書は、届いたら、すぐに「ひとつの封筒・ファイル」にまとめる
  • 家族の収入の見込みは、年末が近づく前に、早めに確認しておく
  • 転職した方は、前の会社の源泉徴収票を、必ず、手元に用意する
  • わからない欄は、空欄にせず、会社の担当者や、案内を見ながら、聞いて確認する
  • 還付されたお金は、生活防衛資金や、NISAなどの、将来の備えに回すのも、おすすめ

まとめ

  • 年末調整は、会社が、本人に代わって、1年間の所得税を精算してくれる手続き
  • 対象は、1年を通じて同じ会社に勤める人など。年収2,000万円超や、年の途中で退職し、再就職していない人は対象外
  • 書類は、主に3〜4種類。控除証明書を、なくさずに保管する
  • 2026年分は、基礎控除などの見直しがあるため、会社の案内を、よく確認する
  • 医療費控除や、1年目の住宅ローン控除などは、確定申告が必要

年末調整は、少しの準備で、ぐっと楽になります。ご不安なことがあれば、いつでも、ご相談ください。


本記事は、2026年10月28日付の日本経済新聞夕刊「ニュースぷらす」の記事内容と、一般的な制度の情報をもとに、独立系FPの山岸が、個人の見解を交えてまとめたものです。税制・提出書類・提出期限・2026年分の見直し内容などは、変更される場合があり、会社や個別の状況により異なります。実際の手続きは、会社の案内、国税庁の最新の情報、税務署、税理士にご確認ください。

参考にしたサイト・資料
年末調整(上)会社員の所得税を精算|日本経済新聞 夕刊「ニュースぷらす」2026年10月28日付(紙面)
国税庁
【2026年最新】年収の壁7つを図解で完全解説|106万・130万・178万の違いと対策
178万円の壁とは?令和8年分(2026年分)から適用される所得税の壁を解説|計算ナビ

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者