企業から個人情報が漏れる時代——FPが伝える、パスワードとセキュリティ管理の基本

こんにちは、独立系FPの山岸です。企業がハッカーに入られ、個人情報が漏れてしまった、というニュースが、続いています。「自分のところは大丈夫」と、思いたいところですが、いまは「自分の情報も、どこかで漏れているかもしれない」という前提で、備えておくことが、大切な時代です。

お金の相談を受けていると、「資産運用」や「保険」の話と同じくらい、「口座を、どうやって守るか」が、大事だと感じます。今日は、パスワードなどの、セキュリティ管理で、大切なことを、表や図を使って、やさしく整理します。10分ほどで読めます。

まず、結論:守る順番と、3つの柱

守る順番:お金と生活の入り口から
柱やること
① お金に直結する口座銀行・証券・クレジットカードは、二段階認証と、パスコードの管理をする
② 生活のインフラGoogle・Apple のID・パスワードを、徹底して守る
③ すべてのサイトパスワードの使い回しをなくし、パスワード管理ソフトで管理する

なぜ「漏れている前提」で考えるのか

企業から漏れたIDやパスワードは、悪意のある人に、悪用されます。特に、よくあるのが、次のような手口です。

手口どんなことが起きるか
パスワードリスト攻撃漏れたIDとパスワードを、別のサイト(銀行・SNSなど)で、片っ端から試される
フィッシング「確認してください」などの、偽のメール・SMSで、本物そっくりのページに誘導される
なりすまし漏れた氏名・住所・電話番号を使い、本人になりすまして、連絡してくる

ですので、「漏れないようにする」だけでなく、「漏れても、被害が広がらないようにする」ことが、ポイントになります。

① 銀行・証券・カード:二段階認証とパスコード管理

お金に直結するので、ここは、いちばん丁寧に守りたい部分です。証券口座の不正アクセス被害が、ニュースになったことを受けて、多くの証券会社が、多要素認証(複数の方法で本人確認)を、必須にする動きが広がっています。

設定・習慣やることひとこと
二段階認証(多要素認証)ログイン時に、パスワードのほかに、もう一つの確認(アプリの認証コード・生体認証など)を設定するパスワードが漏れても、すぐには、ログインされない
認証の方法SMSより、認証アプリ・ワンタイムパスワードアプリ・パスキーを優先するSMSは、乗っ取りの手口もあるとされる
取引用の暗証番号ログイン用のパスワードと、別のものにする同じにしない
通知の設定ログイン・出金・振込の通知を、メールやアプリでオンにする異変に、早く気づける
限度額・出金先振込限度額を、必要な額に下げる。出金先の口座を、決めておく万一のときの、被害を抑える
ログインの入り口メールやSMSのリンクではなく、公式アプリや、ブックマークから入る偽サイトを避ける

② Google・Apple:生活のインフラを、徹底して守る

GoogleのIDとAppleのIDは、メール・写真・連絡先・クラウド・端末・決済など、生活の多くが、つながっている「入り口」です。ここを乗っ取られると、ほかのサービスの、パスワードの再設定にも、使われてしまいます。

守るポイントやること
パスワードほかのサービスと、使い回さない。長く、自分だけが思いつくものにする
二段階認証Googleは「2段階認証プロセス」、Appleは「2ファクタ認証」を、必ずオンにする
パスキー対応していれば、パスキー(指紋・顔認証などで、パスワードなしにログインする方法)を活用する
復旧用の情報復旧用の電話番号・メールアドレスを、最新にしておく。バックアップコードを、安全な場所に保管する
端末のロックスマホ・パソコンの画面ロック(パスコード・生体認証)を、必ず設定する
ログインの確認身に覚えのないログイン通知は、すぐに確認する。Googleの「セキュリティ チェックアップ」なども、活用する
家族への備え万一のときに、家族が困らないよう、復旧の連絡先などを、検討する

③ パスワードの使い回しを、なくす

パスワードの使い回し、こんなに違います

1つのサイトで漏れたパスワードが、別のサイトでも、使えてしまう。これが、使い回しの、いちばんの怖さです。サイトごとに、別のパスワードにしておけば、被害は、そのサイトだけに、食い止められます。

④ パスワード管理ソフトで、管理する

「サイトごとに、別のパスワードなんて、覚えきれない」。その通りです。だから、覚えるのは「1つだけ」にして、あとは、管理ソフトに、任せましょう。

種類例特徴
スマホ・ブラウザの標準機能Googleパスワードマネージャー、iCloudキーチェーン(パスワード)など手軽で、無料。端末に標準で、入っている
専用のパスワード管理アプリ1Password、Bitwarden など複数の端末・OSで使いやすい。機能が豊富。有料のものもある

使い方の3ステップ

ステップやること
① 選ぶまずは、普段使っているスマホやブラウザの、標準機能から、始めてもよい
② 登録する大切なサイトから順に、「自動生成された、長くランダムなパスワード」に、変更して、保存する
③ 守る管理ソフトの「マスターパスワード」を、強くして、二段階認証も、オンにする

⑤ 覚えやすい、長いパスワードの作り方

覚えておくパスワードは、「長くて、覚えやすい」ものが、おすすめです。私のおすすめは、こんな作り方です。

覚えやすい、長いパスワードの作り方
  • 好きな食べ物(ローマ字)と、好きな乗り物(ローマ字)を、ハイフンで結ぶ
  • そこに、もう一つ好きなものを、加える(数字や記号を、少し足すと、さらに強くなる)
良い点注意したい点
長くなるので、破られにくい同じパスワードを、いくつものサイトで、使い回さない
自分の好みなので、覚えやすいSNSなどで「好物・好きな乗り物」を公開していると、推測されやすい
ローマ字なので、入力しやすい家族・友人が、思いつくものは避ける。数字や記号も、足す

使い分けのコツ

  • このパスワードは、「管理ソフトのマスターパスワード」「GoogleやAppleのID」など、覚えておく必要がある、ごく少数のものに、使う
  • そのほかの、たくさんのサイトは、管理ソフトの「自動生成」の、ランダムなパスワードに、任せる
  • パスワードは、定期的に変えるより、「漏れた疑いがあるとき」に、すぐ変える。これが、現在の基本的な考え方です

そのほか、見落としがちなポイント

項目やること
OS・アプリの更新スマホ・パソコンの更新を、放置しない。更新には、セキュリティの修正が含まれる
使わないサービスの整理使っていないアカウントは、退会する。放置すると、漏洩の入り口になる
公共Wi-FiフリーWi-Fiでの、銀行・証券へのログインは、避ける
漏洩のチェック管理ソフトの「漏洩の確認」機能などで、自分のパスワードが、漏れていないか、確認する
怪しい連絡リンクは押さず、公式のアプリやサイトから、自分で確認する

今日から始める、5つのステップ

やること目安の時間
① GoogleのIDの、2段階認証を、オンにする約5分
② AppleのIDの、2ファクタ認証と、復旧情報を、確認する約5分
③ 銀行・証券の、二段階認証と、通知を、設定する約10〜20分
④ パスワード管理ソフトを選び、大切なサイト5つを登録する約15分
⑤ 使い回しているパスワードを、少しずつ、変えていく1日1つずつでもOK

まとめ

  • 企業から個人情報が漏れる時代。「漏れている前提」で、「漏れても被害が広がらない」備えをする
  • お金に直結する、銀行・証券・カードは、二段階認証(認証アプリなど)と、通知、限度額の設定をする
  • 生活のインフラである、GoogleとAppleのIDを、最優先で、守る(二段階認証・パスキー・復旧情報)
  • パスワードの使い回しをなくし、管理ソフトで管理する。覚えるのは、強い「1つ」だけ
  • 「好きな食べ物−好きな乗り物−好きなもの」のパスワードは、使う場所を絞り、公開している好みは避ける

セキュリティ対策は、一度に、すべてやる必要はありません。今日、1つだけでも、始めてみてください。大切なお金と、暮らしを守る、いちばんの近道です。何かご不安があれば、いつでも、ご相談ください。


本記事は、公開情報や一般的なセキュリティの考え方をもとに、独立系FPの山岸が、個人の見解を交えてまとめた一般的な情報提供です。サービスの機能・名称・設定方法は、変更される場合があります。具体的な設定は、各サービス(金融機関・Google・Apple・パスワード管理ソフト)の、最新の公式案内でご確認ください。図中のパスワードは、見本であり、実際には、ご自身だけの組み合わせを作ってください。

参考にしたサイト
情報セキュリティ|IPA(情報処理推進機構)
フィッシング対策協議会
Google アカウント セキュリティ
Apple サポート

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者