2027年1月から、0〜17歳の子どもが使える新しい非課税制度「こどもNISA」が始まる予定です。「子どもの教育費をどう準備しよう」「投資信託を始めてみたいけれど、何から手をつければいいかわからない」という方に向けて、制度の概要、メリット、気をつける点、そして親自身が証券口座・NISA口座を持つ必要性までを、初めての方でも読めるよう10分程度でまとめました。
こどもNISAとは?ひとことで言うと
こどもNISAは、0〜17歳の子ども名義で投資信託などを積み立て、その運用で得た利益に税金がかからなくなる制度です。2026年度(令和8年度)の税制改正大綱で新設が決まり、2027年1月からの開始予定です。
通常、投資で得た利益には約20%(20.315%)の税金がかかります。NISAの口座で運用すると、この税金がゼロになります。大人向けの新NISAの仕組みを、子ども向けに広げたものと考えるとわかりやすいと思います。
制度のポイント(予定)
- 対象:0〜17歳の未成年者
- 開始時期:2027年1月(証券会社の口座開設の受け付けは、2026年10月以降に順次始まる見込み)
- 年間の投資枠:60万円(月5万円ずつが目安)
- 非課税で持てる総額:600万円(満額まで積み立てると約10年)
- 非課税の期間:無期限
- 対象商品:国が長期の積み立て・分散投資に向いていると認めた投資信託(大人のつみたて投資枠と同じ)
- 名義と運用:口座は子ども本人名義。12歳未満は親権者(親など)が代わりに運用する
- 引き出し:原則として18歳まで制限。12歳以降は、教育費など子どものために使う場合などの例外で引き出せる(子どもの同意と、使い道を示す書類が必要)
- 18歳になったら:資産は大人向けのNISA(つみたて投資枠)に自動的に移る仕組み
制度の細かい部分は今後変わる可能性があるため、始める前に、金融庁や証券会社の最新情報を確認してください。
以前の「ジュニアNISA」との違い
2023年末で終了した「ジュニアNISA」は、18歳になるまで原則引き出せないルールなどが使いにくく、利用が広がりませんでした。こどもNISAは、次の点が見直されています。
- 年間の投資枠:ジュニアNISAは80万円、こどもNISAは60万円(やや縮小)
- 非課税の保有限度額:ジュニアNISAは400万円、こどもNISAは600万円(拡大)
- 非課税の期間:ジュニアNISAは最長5年(その後は延長)、こどもNISAは無期限
- 引き出し:12歳以降は、条件つきで可能になる(使いやすくなった)
こどもNISAのメリット
1. 運用益が非課税になる
- 同じ運用成績でも、手元に残るお金が約2割多くなる計算になる。時間が長いほど、非課税の効果は大きい
2. 長い時間を味方にできる
- 0歳から始めれば、18歳まで最長18年。投資は「時間」が最大の武器。長期の積み立てで、値動きをならしやすい
3. 少額から始められる
- 毎月1,000円や1万円など、無理のない額から始められる。児童手当を積み立てに回す家庭も多い
4. 投資の勉強になる
- 子どもが成長してから「お金が増える仕組み」を親子で話し合える。金融教育の入り口になる
5. 18歳以降も、そのまま大人のNISAへ
- 18歳になれば、そのまま大人のNISAに移るので、大学進学や社会人のスタート資金として使える
気をつける点
1. 元本は保証されない
- 投資信託の価格は上がることも下がることもある。元本割れのリスクがある。大学入学などの使う時期が近づいたら、少しずつ安全な資産に移すことも考えたい
2. 教育資金の「全額」をこどもNISAにしない
- 入学金や授業料の支払い時期は決まっている。そのとき相場が下がっていると、必要な額が足りなくなる。すぐ使う予定のお金は、預金などで確保しておく
3. 引き出しは原則として18歳まで制限される(詳しくは後述の「引き出しには条件がある」を参照)
- 急にお金が必要になっても、自由には引き出せない。条件を満たさない引き出しは、課税の対象になることがある。生活費の備えは、別に準備しておく
4. 投資できるのは、決められた投資信託だけ
- 個別の株式や、リスクの高い商品は選べない。対象は、国が基準を定めた投資信託に限られる
5. 贈与税と「名義預金」に注意する
- 親や祖父母から子どもへのお金は、贈与にあたる。年間110万円までは贈与税がかからないので、年間60万円の投資枠なら、通常は問題にならない
- ただし、親が子ども名義の口座を作っても、実質的に親のお金として管理し、子どもが存在を知らないなどの場合は「名義預金」とみなされるおそれがある。子どもへの贈与であることを、きちんと残しておく
6. 損失が出ても、税金の面での救済はない
- NISAでは、損失が出ても、ほかの利益と相殺(損益通算)したり、翌年に繰り越したりできない
引き出しには条件がある——こどもNISA最大のデメリット
こどもNISAを考えるうえで、いちばん知っておきたいのが「引き出しの制限」です。大人のNISAは、売却すればいつでも現金にして引き出せますが、こどもNISAは、いつでも自由に引き出せるわけではありません。これは、安心して使えるかどうかを左右する、大きなデメリットです。
引き出しのルール(予定)
- 12歳未満:原則として、引き出せない
- 12歳以上:次の条件をすべて満たす場合に限り、引き出せる
- 18歳以降:制限がなくなり、資産は大人のNISAに移る
12歳以上で引き出すときの条件は、次のとおりです。
- お金の使い道が、子どものためのものであること(例:入学金、授業料などの教育費)
- 子ども本人が、引き出しに同意していること(同意を示す書面が必要)
- 親権者などの口座管理者が、使い道を示す書類とあわせて、申出書を金融機関に提出すること
この条件を満たさない引き出しは、非課税の扱いを受けられず、課税の対象になるとされています。具体的な税率や扱い、必要書類の細かい内容は、金融機関によって異なる可能性もあるため、今後の公表内容を必ず確認してください。
なぜ、これがデメリットなのか
- 急な出費に使えない:病気、失業、家計の急な悪化、住宅の費用などが起きても、条件を満たさなければ、自由には引き出せない
- 使い道が限られる:教育費など「子どものため」が前提。親の生活費や、家計全体の穴埋めには使いにくい
- 手続きが面倒:子どもの同意書面や申出書など、書類の準備が必要になる。審査の有無や手順は、金融機関ごとに差が出る可能性がある
- 12歳未満は、ほぼ動かせない:子どもが小さいうちは、お金が必要になっても、原則として手をつけられない
- 売りたいときに売れない:相場が上がったときに利益を確定して使いたくても、条件に合わなければ引き出せない
引き出し制限への備え方
- 生活費の備え(生活防衛資金)は、預金で別に確保する:目安は、生活費の半年〜1年分
- こどもNISAに回すのは、18歳になるまで使う予定のない、余裕資金だけにする
- 12歳以降の教育費(中学・高校・大学の入学金や授業料)の見通しを、あらかじめ家族で話し合い、必要な時期に使えるか確認しておく
- まず、いつでも売却して引き出せる親自身のNISAを優先し、そのうえで、余力の範囲でこどもNISAを使う
つまり、こどもNISAは「使い道と時期が、ほぼ決まっているお金」に向いた制度です。「いつ使うかわからないお金」や「万一のための備え」を、こどもNISAに入れるのは避けましょう。
自分(親)も証券口座とNISA口座を持つ必要性
こどもNISAを使うには、まず証券会社に口座を開く必要があります。その際、親自身も証券口座とNISA口座を持つことを、強くおすすめします。理由は次のとおりです。
1. 手続きがスムーズになる
- 子どもの口座は、親権者が代わりに開設・運用する。証券会社によっては、親権者の口座が必要になる場合や、あるとスムーズな場合がある(金融機関により異なるため、事前に確認する)
2. 親が運用の経験を積める
- 自分が一度も投資をしたことがないまま、子どもの資産を運用するのは不安が大きい。まず自分の口座で、少額の積み立てを体験することで、値動きに慣れ、判断の基準ができる
3. 家計の資産形成の主役は、まず親自身
- 子どもの教育費だけでなく、老後資金も大きな課題。親の新NISA(年間360万円、生涯1,800万円)は、子どもより大きな枠がある。老後資金のNISAを先に活用してから、余力でこどもNISAを使うのが基本
4. 家族で、お金の話ができる
- 親が実際に投資をしていれば、子どもに、リアルな体験として教えられる
5. 子どもの口座と、親の口座の「管理」が簡単
- 同じ証券会社を使えば、ログインや、積み立ての設定、年間の取引報告書の管理が一元化できる
初めての投資信託、始め方のステップ
- ①証券会社を選ぶ:手数料が安く、積み立てがしやすい、ネット証券が選択肢になる
- ②まず自分の証券口座と、NISA口座を開設する(本人確認書類とマイナンバーが必要)
- ③少額の積み立てを、親自身の口座で始めてみる
- ④こどもNISAの受け付けが始まったら、子どもの口座開設を申し込む(2026年10月以降の見込み)
- ⑤対象の投資信託から、世界の株式全体に分散投資する、手数料の低いものを選ぶ
- ⑥毎月、無理のない額を自動で積み立て、基本は「ほったらかし」にする
まとめ
- こどもNISAは、0〜17歳が使える非課税の投資制度。2027年1月開始の予定で、年間60万円、総額600万円まで運用益が非課税になる
- メリットは、運用益の非課税、長期運用、少額スタート、金融教育になること
- 気をつける点は、元本割れのリスク、引き出しの制限、名義預金・贈与の扱い、教育資金の全額を投資に回さないこと
- 最大のデメリットは「引き出しの条件」:12歳未満は原則引き出せず、12歳以降も、使い道が子どものためであること、子どもの同意、申出書の提出が必要。条件を満たさない引き出しは課税される。生活費の備えは別に確保する
- 親自身も証券口座とNISA口座を開き、まず少額から経験を積むことが、こどもNISAを上手に使う近道
こどもNISAは、子どもの将来のためのひとつの選択肢です。大切なのは、無理のない金額で、長く続けることです。
本記事は、2026年度税制改正大綱および各種報道・金融機関の公開情報をもとに、筆者の見解を交えてまとめた一般的な情報提供です。制度は開始前であり、内容が変更される可能性があります。特定の金融商品の勧誘や投資の助言ではありません。投資は元本割れのリスクがあります。最終的な判断は、金融庁や各証券会社の最新情報をご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
参考にしたサイト
「こどもNISA」口座開設手続き、10月から開始 孫への生前贈与にも|日本経済新聞
2027年「こどもNISA」開始 NISA対象も拡充 税制改正大綱|Impress Watch
こどもNISAとは?2027年1月開始予定の新制度をジュニアNISA・学資保険と徹底比較|マネックス証券
18歳未満向け「こどもNISA」が税制大綱入り!制度のポイントと導入の意図は?|野村證券 Fin Wing
