みなさん、やはり保険がお好きです——「なんとなく」加入した保険、その目的を説明できますか?

FP面談をしていると、ほぼ毎回といっていいほど確認するのが「加入している保険の内容」です。そこで必ず聞くのが「この保険、何のために入られたんですか?」という質問。ところが、この質問に明確に答えられる方は、実はそう多くありません。

「先輩に勧められて」「親が入っておいた方がいいと言うから」「会社に保険の営業の方が来て、なんとなく必要かなと思って」——理由を聞いていくと、こうした答えが返ってくることが非常に多いのです。今回は、この「なんとなく保険」の実態と、FPとして本当におすすめしたい保険との付き合い方をまとめました。

「なんとなく」で入った保険が、実は人生2番目に大きな買い物になる

生命保険の月々の保険料は、数千円から数万円程度と、一見それほど大きな負担には感じません。しかし、これを何十年も払い続けるとどうなるでしょうか。

例えば月々15,000円の保険を30年間払い続けると、それだけで540万円にもなります。月々3万円なら、30年で1,080万円です。これだけの金額を、住宅購入に次ぐ大きな支出として、無自覚のまま払い続けている方が少なくありません。

「なんとなく」で加入した保険が、実は人生でも指折りの大きな買い物になっている——これが、FP面談で保険を確認するたびに感じる実感です。

では保険は不要なのか——答えは「NO」

だからといって、保険がすべて不要というわけではありません。特に、小さなお子様がいるご家庭には、生命保険(収入保障保険)を必ずおすすめしています

理由はシンプルで、万が一の際に遺族年金だけでは生活費が不足するケースがほとんどだからです。例えば、平均報酬月額35万円程度の会社員の夫が亡くなり、妻と子ども2人が遺族になったケースでは、遺族年金の受給額はおおむね月14万〜15万円程度が目安とされます。一方で、母子3人の生活費は月25万円程度かかることも珍しくなく、月10万円前後の不足が生じる計算になります。

この不足分を、公的保障だけに頼らず民間の保険でカバーする——これが、子育て世帯に生命保険(収入保障保険)をおすすめする理由です。

おすすめするのは「必要最低限」の「掛け捨て」保険

ただし、おすすめする保険には条件があります。遺族年金でどこまでカバーされるかをきちんと説明したうえで、その不足分だけをカバーする、必要最低限の保障をご提案しています。

具体的には、次のような保険を選ぶことが多いです。

  • 収入保障保険:万が一のとき、毎月一定額が年金のように支払われるタイプ。必要な期間・金額に絞って設計しやすい
  • 掛け捨て型:貯蓄機能を持たない分、保険料が割安
  • FWD生命の「FWD収入保障〈Web専用〉」やオリックス生命など、Webで加入できる商品:対面での保険営業を挟まないぶん、人件費コストが保険料に上乗せされにくく、比較的安価に設計されている

「大は小を兼ねる」ではなく、「遺族年金で足りない分だけを、割安な掛け捨てで補う」という発想が、保険選びの基本だと考えています。

貯蓄型・外貨建て保険は、多くの方に不要

一方で、次のような方には、貯蓄型保険や外貨建て保険は基本的に不要だとお伝えしています。

  • 独身の方
  • お子様がいらっしゃらないご夫婦
  • お子様がすでに独立・大学卒業された世帯

理由は、貯蓄型・外貨建て保険は「保障」と「貯蓄・運用」が一つの商品に混ざっているため、コストが割高になりやすく、かつ為替リスクなど分かりにくいリスクを抱えることが多いためです。保障が本当に必要な期間・状況を過ぎた保険は、見直しの対象になります。

払いすぎている保険は解約し、その分を「自分の人生」のために使う

もし、必要以上の保険料を払い続けていることに気づいたら、解約を検討し、その分を投資に回すことをおすすめしています。

生命保険は、本来「自分が死んだときのためのお金」です。しかし、必要以上の保障を持ち続けることは、「生きている今の自分」のためのお金を、知らず知らずのうちに減らしていることに他なりません。

  • 払いすぎている保険料を見直し、浮いた分を投資(オルカンやiDeCo、NISAなど)に回す
  • 「死んだときのお金」ではなく、「これからの自分の人生を豊かにするお金」として活用する
  • 旅行、学び、経験など、今しかできないことにお金を使う選択肢を広げる

これが、保険を見直すことの本当の意味だと考えています。

まとめ

  • 「なんとなく」加入した保険は、何十年も払い続けると数百万円〜1,000万円超の大きな支出になる
  • とはいえ保険は不要ではなく、小さなお子様がいる家庭には収入保障保険を必ずおすすめする
  • 遺族年金の説明を踏まえ、不足分だけをカバーする「必要最低限」「掛け捨て」の保険が基本
  • 独身・お子様がいない・お子様が独立された方には、貯蓄型・外貨建て保険は基本的に不要
  • 払いすぎている保険は解約し、その分を投資に回し、「自分の人生」のために使う

保険は「入っていれば安心」なものではなく、「なぜ入っているか」を自分の言葉で説明できて初めて、意味を持つものです。一度、ご自身が加入している保険の「目的」を、あらためて確認してみてはいかがでしょうか。


本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の保険会社・商品の加入を推奨するものではありません。実際の保険の見直しについては、ご自身の状況に応じて専門家にご相談ください。

参考にしたサイト

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者