退職・転職・独立…健康保険はどうなる?「国保」と「健保」の違いをFPが徹底解説

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🔴 【国保】自営業・退職後の健康保険 ── 全額自己負担のしくみ

国保は会社の折半がない分、同じ所得でも保険料が高く感じるのが特徴です。計算式も少し複雑なので、仕組みを理解しておきましょう。

国保の保険料は「3つの要素」で計算される

要素内容イメージ
① 所得割前年の所得(収入)に比例してかかる稼いだ分だけ増える
② 均等割加入者1人あたり固定額がかかる家族が増えるほど増える
③ 平等割世帯ごとにかかる固定額(自治体により)1世帯に1回だけかかる

➡️ 保険料 = 所得割 + 均等割 + 平等割(自治体によって料率が異なります)

年収別・国保の保険料(東京23区・単身・40歳未満の参考値)

年収月額保険料(目安)年間保険料(目安)健保との差(年間)
300万円約2.1万円約25万円+約11万円
400万円約2.8万円約33万円+約15万円
500万円約3.6万円約43万円+約19万円
600万円約4.4万円約53万円+約23万円
800万円以上約7.5万円〜上限約90万円〜110万円(上限)大幅に高い

※ 東京23区の2026年度概算。居住地・家族構成によって大きく変わります。正確な金額はお住まいの自治体窓口でご確認ください。

🚨 2026年から国保の上限が110万円に引き上げ

年度国保の上限額対象世帯の目安(単身)
2022年度102万円年収約1,060万円以上
2023年度104万円年収約1,090万円以上
2024年度106万円年収約1,120万円以上
2025年度109万円年収約1,150万円以上
2026年度(最新)110万円年収約1,170万円以上

5年間で8万円の引き上げ。「稼ぐほど上限まで払わされる」構造は変わっていません。

🚀 退職後の「3つの選択肢」── どれが一番お得?

会社を辞めた翌日から、あなたは健保の資格を失います。14日以内に何かに加入しなければなりません。選択肢は3つです。

選択肢内容メリットデメリット期間
① 任意継続退職前の健保をそのまま継続傷病手当金・出産手当金が使える場合あり。扶養家族もそのまま保険料を全額自己負担(会社分も)。途中でやめられない(原則)最大2年間
② 国保に切り替え市区町村の国保に加入収入が大幅減なら国保が安くなることも扶養制度がない。傷病・出産手当なし期限なし
③ 家族の扶養に入る配偶者など家族の健保の扶養に入る保険料が0円!最強の選択肢収入条件あり(年収130万円未満 等)条件を満たす限り

「任意継続」の保険料は?

任意継続では、退職時の標準報酬月額(上限30万円)× 保険料率で計算します。会社負担分も全額自分払いになります。

退職前の年収任意継続の月額(目安)年額(目安)
300万円約23,600円約28.3万円
400万円約29,550円約35.5万円
500万円以上約29,550円(上限・固定)約35.5万円(変わらず)

※ 協会けんぽ東京・40歳未満・医療分のみ。上限は標準報酬月額30万円。

💰 退職後の保険料シミュレーション(年収400万円・配偶者と子1人の場合)

選択肢月額保険料(目安)年間保険料(目安)傷病手当扶養
① 任意継続約29,550円約35.5万円○(退職前から継続中の場合)○(無料)
② 国保(3人世帯)約43,000円約51.6万円××(均等割3人分)
③ 家族の扶養(配偶者の健保)0円0円×

➡️ この例では任意継続が国保より年間約16万円安い!ただし、退職後に収入がほぼゼロになる場合は、翌年の国保が大幅に下がることもあります。

✅ 退職・独立時の「保険切り替え」チェックリスト

チェック確認事項ポイント
退職後14日以内に手続きする期限を過ぎると空白期間が生じる
任意継続 vs 国保の保険料を比較する年収・家族構成で逆転することがある
配偶者の扶養に入れるか確認する年収130万円未満が目安(最も安い)
病気・ケガが続いている場合は任意継続を検討傷病手当金が継続される場合あり
退職翌年の国保料を計算する前年収入が低い年は国保が安くなる
フリーランス・副業なら確定申告を忘れずに所得控除が国保料に影響する

💬 FPとしての見解:「高い」と嘆く前に、選択肢を計算しよう

国保が高い理由は「会社の折半がなくなるから」です。会社員時代に払っていた保険料は実は「半額以下」だったのです。退職後に初めて全額の請求書を見て驚く方がとても多いです。

ただし、「国保が高い=国保はダメ」ではありません。退職後に収入が大幅に減る場合は、翌年の国保料が下がります。また、家族全員分まとめて任意継続が安い場合も多い。一律の正解はなく、あなたの状況によって最適な選択肢が変わります。

退職・転職・独立を考えているなら、事前にFPへ相談することで「どれを選ぶか」の判断が格段に楽になります。中立な立場から、あなたの年収・家族構成・退職後の収入見込みをもとに計算します。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者