中学受験、塾代はトータルいくらかかる?関東・関西の相場と有名塾5社の実態

「まわりが中学受験を考えているみたいだから、うちも」——そう思ったとき、多くの親御さんが最初につまずくのが「結局いくらかかるのか分からない」という壁です。

塾のパンフレットには月謝は書いてあっても、季節講習費や教材費、模試代、受験料まで含めた「トータルの総額」はどこにも載っていません。気づいたら年間100万円を超えていた、というのはよくある話です。

この記事では、中学受験にかかる費用の全体像を、関東・関西・その他エリアの違い、有名塾5社の実態例、学年ごとの費用推移まで整理してお伝えします。30代・40代でこれから教育資金の準備を考える方に、具体的な数字でイメージを持ってもらえる内容を目指しました。

※本記事の金額は各塾の公表情報や一般的な相場をもとにした目安です。校舎・コース・時期により変動しますので、実際の金額は必ず各塾に直接ご確認ください。

中学受験にかかる費用の全体像

中学受験の費用は、大きく分けると次の4つで構成されています。

  • ①通常授業料(月謝):学年が上がるほど高くなる
  • ②季節講習費:春期・夏期・冬期・正月特訓・直前講習など
  • ③その他費用:教材費、模試代、志望校別特訓、個別指導の追加など
  • ④受験料:出願する学校の数だけ発生

一般的に、小4〜小6の3年間でかかる総額は150万円〜300万円程度が目安とされます。難関校を目指して大手進学塾に通い、季節講習や志望校別特訓をフルで受講すると300万円を超えるケースも珍しくありません。逆に、コースを絞ったり個別指導を使わずに集団授業中心にしたりすれば、150万円前後に抑えることも可能です。

つまり「中学受験の費用」には非常に幅があり、どの塾を選び、どこまでオプションを使うかで大きく変わってくるということです。

何年生から塾通いが必要か

中学受験の勉強は、新小4(小3の2月)スタートが最も一般的です。多くの大手進学塾がこのタイミングを新学年の始まりとしており、カリキュラムも新小4から中学受験本番までの3年間で完成するよう設計されています。

ただし、最難関校(御三家・灘・洛南など)を目指す家庭では、小1〜小3から通塾を始めるケースも増えています。この時期は「受験勉強」というより、読解力や計算力の土台づくり、勉強習慣の定着が目的です。

開始時期目的・特徴
小1〜小3学習習慣づけ、思考力系の講座(パズル・思考力育成等)
新小4(小3の2月)本格的な受験カリキュラムのスタート。最も一般的
小5からの途中入塾応用期からのスタート。基礎の補強が必要になることも
小6からの途中入塾志望校を絞った直前対策中心。難関校は厳しいことが多い

新小4スタートを前提にすると、通塾期間は実質3年間になります。この3年間でどれだけ費用がかかるかが、後述するシミュレーションの土台です。

関東・関西・その他エリアで費用は違うのか

中学受験の塾代は、実は地域によって構造がかなり異なります。

関東エリア

SAPIX、早稲田アカデミー、四谷大塚、日能研といった大手進学塾が激しく競合しており、選択肢は豊富です。特にSAPIXは難関校への高い合格実績を背景に、月謝・講習費とも塾業界の中でも高めの水準にあります。競争が激しい分、志望校別特訓や単科講座などオプションが充実しており、フルで使うと費用は膨らみやすい傾向があります。

関西エリア

浜学園、希学園、馬渕教室、日能研関西などが中心で、灘中・甲陽学院・洛南高等学校附属といった最難関校対策に特化した講座が発達しています。関西の中学受験は1月から2月上旬にかけて短期間に複数校を受験する文化があり、受験料の合計が関東より膨らみやすい面もあります。特に灘中志望者向けの特訓講座は、関東の難関校対策コースと同水準かそれ以上の費用になることがあります。

その他エリア(地方都市)

大手進学塾の校舎数が少なく、選択肢が限られる地域もあります。地元密着型の学習塾や、映像授業・オンライン指導(四谷大塚NETやオンライン個別指導など)を組み合わせるケースが増えています。都市部に比べて月謝相場はやや抑えめな地域もありますが、校舎までの送迎や交通費、遠方の模試会場までの移動費など、見えにくいコストが発生することもあります。

有名塾5社の実態例

学年・コースによって幅がありますが、代表的な大手進学塾5社の月謝目安(小6・週4〜5日通塾の場合)をまとめました。

塾名エリア小6月謝目安(税込)特徴
SAPIX小学部関東・関西約5万〜7万円難関校合格実績No.1クラス。テキストは毎回配布形式で自宅学習量が多い
早稲田アカデミー関東中心約5万〜6.5万円「本気の熱血指導」が特徴。NN志望校別コースが充実
日能研全国約4万〜5.5万円全国展開で校舎数が多い。中堅〜難関まで幅広く対応
四谷大塚関東中心・提携塾全国約4万〜5.5万円予習シリーズを使った学習が全国の提携塾でも展開
浜学園関西中心約4.5万〜6万円灘中合格者数トップクラス。関西最難関対策に強み

上記はあくまで通常授業の月謝であり、これに教材費・模試代・季節講習費・志望校別特訓が加算されます。特にSAPIXと早稲田アカデミーの最上位コースは、小6後半になると月謝以外の費用が月謝と同額かそれ以上になることもあります。

毎月の塾代の推移(学年別)

学年が上がるにつれて、通塾日数・時間数が増え、月謝も右肩上がりになります。大手進学塾の一般的な水準をまとめると、次のようなイメージです。

学年週の通塾日数目安月謝目安(税込・教材費等除く)
小4週2日約2万〜3.5万円
小5週3日約4万〜5万円
小6(前半)週4日約5万〜6.5万円
小6(後半・志望校別特訓込み)週5日以上約7万〜10万円以上

小4はまだ負担感が少なく感じられますが、小5・小6と進むにつれて月謝が2〜3倍に膨らんでいくのが中学受験費用の特徴です。「小4のときの感覚で家計を組んでいたら小6で想定外の出費に驚いた」という声は非常に多く聞かれます。

季節講習費用(春期・夏期・冬期・直前講習)

通常授業とは別に発生するのが、長期休みごとの季節講習費です。特に小6の夏期講習・冬期講習・正月特訓・直前講習は、中学受験費用の中でも突出して高額になるポイントです。

講習小4目安小5目安小6目安
春期講習約2万〜4万円約3万〜5万円約4万〜7万円
夏期講習約6万〜10万円約10万〜15万円約15万〜25万円
冬期講習約3万〜5万円約4万〜6万円約8万〜12万円
正月特訓約3万〜6万円
直前講習(1〜2月)約5万〜10万円

小6の夏期講習だけで、他の学年の月謝数か月分に相当する金額になることも珍しくありません。これに志望校別の単科講座や模試(月1〜2回、1回あたり4,000円〜6,000円程度)が加わるため、小6の1年間は年間トータルで100万円を超える家庭も多くなります。

中学のランクごとに費用は違うのか

「難関校を目指すほど費用が高い」というのは、おおむね事実です。理由は次のとおりです。

  • 最難関校(御三家・灘など):志望校別特訓コース(SAPIXのSS特訓、早稲田アカデミーのNNコースなど)の受講が事実上必須となり、通常授業に加えて月2万〜5万円程度が上乗せされる
  • 難関校:応用力を鍛える上位コースの受講が中心。オプション費用は最難関ほどではないが、模試回数は増える傾向
  • 中堅校:標準コースで対応可能なケースが多く、志望校別特訓を使わない分、費用は抑えやすい
  • 付属校・面倒見の良い学校志向:塾によっては基礎固め中心のコースで対応でき、通常授業料の範囲で収まることも多い

同じ塾に通っていても、「どのコースを選び、どのオプションを使うか」で総額が数十万円単位で変わってくるのが実情です。志望校のランクを決める際は、偏差値だけでなく「そのランクを狙うために必要な追加費用」も併せて考えておくと、後から慌てずに済みます。

受験料そのものにかかる費用

塾代とは別に、出願・受験そのものにも費用がかかります。

  • 受験料:1校・1回あたり2万〜3万円程度
  • 複数回受験する学校も多く、同じ学校に2回・3回出願するケースもある
  • 関西エリアは短期間に集中して複数校を受ける文化があり、受験料の合計が膨らみやすい

一般的に、5校〜10回程度出願する家庭が多く、受験料の合計だけで10万円〜25万円程度になります。加えて、遠方受験の場合は交通費・宿泊費が発生することもあります。

3年間トータルシミュレーション

ここまでの内容を踏まえて、新小4から小6までの3年間でかかる費用のシミュレーションをまとめます。

項目抑えめプラン標準プランフルオプションプラン
小4年間費用(月謝+講習)約35万円約50万円約60万円
小5年間費用(月謝+講習)約60万円約80万円約100万円
小6年間費用(月謝+講習+志望校別特訓)約80万円約110万円約150万円以上
受験料(5〜10回出願)約10万円約15万円約20万円
3年間合計目安約185万円約255万円約330万円以上

「抑えめプラン」は標準コース中心・季節講習を必要な分のみ受講、「フルオプションプラン」は最難関校向けに志望校別特訓や個別指導を積極的に活用したケースをイメージしています。多くの家庭は標準プランに近い、総額200万円台に落ち着くことが多いというのが実感値です。

30代・40代の親御さんへ:教育資金の準備の考え方

中学受験を検討し始める時期は、お子さんが小学校低学年〜中学年、親御さんが30代後半〜40代というケースが多く、住宅ローンや老後資金の準備とも時期が重なりやすいタイミングです。

ポイントは、「小6でピークが来ることを前提に、逆算して準備しておく」ことです。小4の時点の月謝感覚のまま家計を組んでしまうと、小6で年間100万円規模の出費に対応できず、教育資金以外の貯蓄を取り崩すことになりかねません。

  • 新小4スタート前に、3年間の概算総額を試算し、月あたりの積立目標を決めておく
  • 児童手当やこれまでの積立を「中学受験専用口座」として分けて管理する
  • NISA等で準備している教育資金は、小6の講習費ピーク時期に取り崩すタイミングを考慮して運用方針を決める
  • 「どのランクの学校を目指すか」で総額が大きく変わるため、家計と志望校のバランスを早めに家族で話し合っておく

中学受験は「合格すれば終わり」ではなく、その先の学費(私立中学の場合は年間100万円前後かかることも)も見据えた資金計画が必要です。塾代だけでなく、その後の教育費全体を見通したうえで、無理のない受験計画を立てることが何より大切です。


本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の教育方針や商品を推奨するものではありません。実際の教育資金計画については、ご家庭の状況に応じて専門家にご相談ください。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者