35年ローンを組む前に知っておくべき、FPが見る5つのチェックポイント

家を買うのは、人生で最も大きなお買い物です。「銀行に4,000万円まで貸してもらえると言われた!」と喜んでいる方に、一つ聞いてみたいことがあります。

それ、本当に返せますか?

借りられる額と、返せる額は全く違います。住宅ローンは35年という長い旅。その旅に出る前に、FPの目線から「絶対に知っておいてほしい5つのチェックポイント」をお伝えします。高校生でもわかるように、できるだけ平易な言葉で解説します。


✅ チェックポイント① 「借りられる額」と「返せる額」は全然違う

銀行が「あなたは〇〇万円まで借りられます」と言うとき、その計算の基準は年収の7〜8倍ほどです。

たとえば年収600万円の人なら、約4,200万〜4,800万円まで借りられることになります。でも、そのまま借りると大変なことになります。

なぜかというと、銀行の審査では「税引き前の年収」で計算するため、実際に手元に残るお金(手取り)はずっと少ないからです。

銀行の審査基準FP推奨の目安
返済比率の考え方年収の35〜40%まで可手取りの20〜25%以内
年収600万円(手取り約480万円)の場合月々 約17〜20万円まで月々 約8〜10万円まで

月8〜10万円というと少なく感じるかもしれませんが、そこから子どもの教育費・車・老後の積立・急な出費などを払っていくことを考えると、余裕を持った返済額にすることがとても大切です。

🔑 ポイント:まず「手取り収入の20〜25%以内で返せる金額」を計算し、そこから逆算して物件価格の上限を決めましょう。


✅ チェックポイント② 固定金利 vs 変動金利、どちらを選ぶ?

住宅ローンの金利タイプは大きく2種類あります。どちらを選ぶかで、35年間の総支払額が数百万円変わることもあります。

🔒 固定金利とは?

借りたときの金利がずっと変わらないタイプ。月々の返済額が最初から最後まで同じなので、家計の管理がしやすいのが最大のメリットです。デメリットは、変動金利より金利が少し高めな点です。

📈 変動金利とは?

半年ごとに金利が見直されるタイプ。現在は固定より低めの金利が多いですが、今後金利が上がると返済額も増える可能性があります。

固定金利変動金利
2026年現在の金利目安1.5〜2.5%程度0.5〜1.0%程度
返済額の変化変わらない金利次第で変わる
こんな人に向いている毎月の支出を固定したい人繰上返済を積極的にできる人

🔑 ポイント:現在は金利が上昇傾向にあります。「金利が上がっても生活に余裕がある」という確信がなければ、固定金利を中心に検討することをお勧めします。


✅ チェックポイント③ 繰上返済は「早ければ早いほど」お得

「繰上返済」とは、毎月の返済とは別に、まとまったお金をローンの返済に充てることです。これをやると何がいいのか、簡単に説明します。

住宅ローンの利息は、「残っている借金(元金)の額」に対してかかります。つまり、早めに元金を減らすほど、その後に払う利息が少なくなる、ということです。

📊 繰上返済の効果(シミュレーション例)

条件内容
借入金額3,500万円
金利年1.5%(固定)
返済期間35年
5年後に100万円を繰上返済した場合返済期間が約1年2ヶ月短縮 利息の節約額:約34万円

たった100万円の繰上返済で、34万円もの利息が節約できます。これは定期預金の利息と比べても、はるかに大きな「リターン」です。

⚠️ ただし注意点もあります。繰上返済に使いすぎて、手元のお金がなくなると困ります。目安として「生活費の6ヶ月分」は緊急予備資金として手元に残してから、余裕の資金で繰上返済しましょう。


✅ チェックポイント④ 団信(だんしん)を正しく理解する

住宅ローンを借りるとき、ほぼ必ず「団体信用生命保険(団信・だんしん)」に加入します。これは「もし亡くなったり、重い障害を負ったりしたとき、保険がローンの残りを全額払ってくれる」という仕組みです。

つまり、万が一のときに「家族に家を残せる」という大きな安心感があります。

種類保障の内容金利への影響
一般団信死亡・高度障害金利に含まれる(追加なし)
がん団信死亡・高度障害+がん診断金利+0.1〜0.2%程度
三大疾病団信上記+心疾患・脳血管疾患金利+0.2〜0.3%程度
ワイド団信持病があっても加入しやすい金利+0.3%程度

🔑 FPからの重要なアドバイス:団信に入ったからといって、今の生命保険をすべて解約していいわけではありません。団信は「死亡・高度障害」のとき「ローンが消える」だけ。収入が減ったとき(長期療養など)の生活費は別途カバーが必要です。

逆に、団信に加入したことで「死亡保障の重複」が生まれているケースも多くあります。住宅ローンを組んだタイミングで、既存の生命保険を見直すことを強くお勧めします。


✅ チェックポイント⑤ 35年後のライフプランを一緒に考える

30代でローンを組んだ場合、完済するのは65〜70歳ごろ。その35年間に、人生にはさまざまなことが起こります。

  • 子どもの教育費(大学進学で1人あたり500〜700万円)
  • 車の買い替え(数百万円)
  • 親の介護費用
  • 老後の生活資金(2,000万円以上必要とも言われる)
  • 住宅のリフォーム費用(築20〜25年で大規模修繕が必要)

これらすべてを、住宅ローンの返済と並行して賄っていく必要があります。

「今は返せる」だけでなく、「35年間ずっと返せるか」が本当の判断基準です。

FPが使うツールのひとつが「キャッシュフロー表」です。今から将来にかけての収入・支出・貯蓄残高を年単位で書き出したもので、「家を買っても大丈夫か?」「いつ危険な時期が来るか?」が一目でわかります。

高校生でも作れるくらいシンプルな表ですが、これを作るだけで「購入して大丈夫」か「もう少し物件価格を抑えた方がいい」かの判断が格段にしやすくなります。


📋 5つのチェックポイント まとめ

チェックポイント確認すべきポイント
① 借りられる額 vs 返せる額手取りの20〜25%以内を目安に物件価格を決める
② 金利タイプの選択金利上昇局面では固定も積極的に検討する
③ 繰上返済の活用緊急予備資金を残したうえで、早めに元金を減らす
④ 団信の理解と保険見直し加入後は既存の生命保険を必ず見直す
⑤ 35年のライフプランキャッシュフロー表で将来の収支を可視化する

住宅ローンは「借りたら終わり」ではなく、「借りてからが始まり」です。

月々の返済額だけで判断するのではなく、金利・保険・ライフプラン・繰上返済戦略まで総合的に考えることが、後悔しない家選びにつながります。

💬 購入前に一度、中立な立場のFPに相談することをお勧めします。

FPに相談することで、「本当に買っていいのか」「いくらまでなら無理なく返せるか」を客観的な数字で確認できます。特定の金融機関や不動産会社に縛られない独立系FPなら、あなたの利益を最優先にしたアドバイスが受けられます。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者