金利上昇 住宅ローンは何に気をつければいいか

ふあん
さん

ニュースで金利が上がると聞きました。現在、住宅ローンを返済中ですが変動金利ですので、毎月の返済額が上がってしまうのではと不安です。

 FP
やまぎし

日本銀行の金利を上げていっているので、金融機関の金利も上がってきています。当然、借入している方の住宅ローンの変動金利水準や新たに住宅ローンを組む方の金利も変わってきます。但し、たとえ変動金利であっても月々の返済額は急には上がりません。そのあたりのお話と注意点をご案内します。

住宅ローンの金利は上昇基調

新規で住宅ローンを契約する場合、2024年10月1日から多くの金融機関で9月までと比較して、0.15%程度上げた水準となっています。日本銀行の政策金利を7月に上げたことによるものです。この政策金利も0.25%とまだまだ低いため、物価の上昇や景気動向にもよりますが、徐々に上げっていくかと思われます。そのため、住宅ローン金利は上がり基調ではないでしょうか。但し、あくまで私の見立てなので、今後の状況を断言できるものではありません旨、ご理解ください。

<2024年10月からの住宅ローン金利上昇幅>

金利上昇に伴う支払金額の上昇幅

金利の変動に伴って返済金額の変化がどのくらいあるのか見てみましょう。仮に現状の住宅ローン金利が0.4%だった場合、0.15%、0.40%、0.65%の上昇で毎月の返済額を表にしたものになります。年間で見てみますと24000円〜180000円の上昇になります。しかし、こちらは新規に借入をする際の変動額になりますので、すでに借入をされている方はすぐに返済額の変化はありません(変更になる場合がありますので、注意点はこれから記載します)。
新規に借入をする場合には金利の変化が返済額に影響を与えるのですが、金融機関と新規で住宅ローン借入した際の金利は契約日ではなく、実行日によって金利が決まります。つまり、今月借入実行ですれば0.40%なのに、来月にズレてしまうと実行金利が0.55%になるケースもあります。借入実行日は住宅の引渡日(抵当権設定をする日)となりますので、注意が必要になります。

住宅ローンを組んでいる方は金利が上がっても返済額はすぐには上がりません

変動金利ですでに住宅ローンを組まれている方は金利が上がったら、返済額が上がってしまうのではと不安になられる方もいらっしゃるかと思います。しかし、すぐには返済額は上がりません。5年ルールという言葉を聞いたことがありますでしょうか。

5年ルールとは変動金利型住宅ローンにおいて、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わらない仕組みです。しかも、125%ルールというものもあり、5年ルール経過後に返済額が上がるとしても現状の125%までしか上昇しない仕組みになっています。そのため、金利上昇に伴い一気に毎月の返済額が上昇することはありません。

5年ルールの注意点

金利上昇時、返済額は変わらなくても元金と利息の内訳が変更され、元金返済のペースが遅くなる可能性があります。そのため、返済満期になっても元本の返済が残り、一括で残りの元本を返済しなければならなくなります。
このリスクに対応させるためには、金利上昇に伴い元本の返済スピードが遅くなった部分を繰上げ弁済していくか、残った元本以上の資産を貯蓄か投資で用意しておく必要があります。

5年ルールを適用してない金融機関もありますので、事前に確認が必要です。

5年ルール・125%ルールを適用していない金融機関

  1. ソニー銀行
  2. 新生銀行
  3. PayPay銀行

5年ルールの適用期間についても注意が必要です。期間の起点は借入開始日ですので、借入から6年目、11年目、16年目というように、5年ごとに返済額が見直されます。仮に6年目の少し前に金利水準が上がった場合、5年後ではなく3ヶ月後から返済金額が上がってしまう場合があります。

まとめ

金利上昇時には住宅ローンの金利について気になります。不安になることもあります。しかし、実際はセーフティネット的なルールや実際に金利が上がっても金額的なインパクトが少ないケースが多く、そこまで心配する必要はないかと思います。

しかし、住宅ローンは複利ですので、無理な借入や金利が高いものですと生活への影響に大きく及ぼします。すでに借入がある方は、キャッシュフロー表を作成し、必要なら繰上げ返済や他の金融機関への借換えも検討してみてはいかがでしょうか。

これから新規で住宅ローンを組まれる方は、住宅ローンの借入実行時=入居時がいつくらいになるかを考慮し、たとえ金利が上がったとしても返済が十分可能な範囲で借入金額を設定してみてください。住宅ローンは収入の5〜7倍程度が適正かと思われます。それ以上になるとどうしても他の支出に影響を与えかねません。いい住居に暮らすことは大切ですが、ご自身の価値観とすりあわせし趣味・老後費用・教育費・日々の暮らしのゆとり等へも考慮したお金の配分バランスを考えていただければと思います。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者