日経平均が1,100円下がった日、TOPIXは上がっていた――ニュースの見出しに慌てないために

今日(11月5日)のお昼、「日経平均、1,100円安」というニュース速報を見て、ご自分のNISAやiDeCoの残高が心配になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

アメリカの中間選挙が終わった直後でもあり、「何か大変なことが起きたのでは」と思うのは、自然なことです。

でも、今日の日本市場は、実はとても不思議な一日でした。独立系ファイナンシャルプランナーの山岸として、今日の出来事をやさしく整理してみます。

今日起きたこと:同じ日なのに、逆の動き

まず、今日の終値です。

指数今日の終値(前日比)
日経平均株価61,077.90円(−1,110.73円、−1.79%)
TOPIX(東証株価指数)3,940.39(+45.01、+1.16%)
日経平均は下落、TOPIXは上昇(11月5日の終値)

日経平均は大きく下がったのに、TOPIXは上がっています。午前中には、東証プライム市場の約82%の銘柄が値上がりしていたと報じられました。ファーストリテイリング、トヨタ、ソニーといった大型株も上昇しています。

つまり、今日は「市場全体が崩れた日」ではなかったのです。

なぜ、こんな食い違いが起きるのか

理由は、2つの指数の「作り方」の違いです。

日経平均とTOPIXは作り方が違う

日経平均:株価の高い銘柄に引っ張られる

日経平均は、選ばれた225銘柄の「株価」をもとに計算する指数です。株価そのものの水準が高い銘柄(値がさ株)の値動きに、大きく引っ張られます。

今日、大きく売られたのは、アドバンテストや東京エレクトロンといった半導体関連の値がさ株でした。今日の午前、この2銘柄の下げだけで、日経平均を1,000円以上押し下げたと報じられています。

TOPIX:市場全体に近い

一方のTOPIXは、プライム市場の全銘柄を、時価総額(会社の規模)で重みづけした指数です。1〜2銘柄の急落では全体が大きく動きにくく、「市場全体の姿」にはこちらが近いと言えます。

比べるポイント日経平均/TOPIX
対象選ばれた225銘柄/プライム市場の全銘柄
計算の考え方株価をもとに計算/会社の規模(時価総額)で重みづけ
影響を受けやすいもの株価の高い値がさ株/規模の大きな会社全体

どちらが良い、悪いという話ではありません。「見ているものが違う」だけなのです。

選挙のあとでも、国と銘柄で答えは逆になる

今回の選挙との関係でも、おもしろい対比がありました。

同じ選挙のあとでも、アメリカと日本で動きは逆に

アメリカでは、民主党が上下両院の過半数を奪還し、不確実性が後退したとして、ダウ平均が3%上がりました。ところが日本では、AI規制への警戒から半導体関連が売られ、指数が引っ張られました。

同じ「選挙のあと」でも、国と銘柄が違えば、答えは逆になる。ニュースの見出しだけでは見えないことが、たくさんあるのです。

自分のファンドは、何に連動していますか?

ここで、ひとつ確認してみてください。ご自分の積立先が、何に連動しているか、ご存じでしょうか。

ファンドの種類によって、今日のような日の影響は違う

日経平均連動型の投資信託は、今日のような日には、指数の下げを受けやすくなります。TOPIX型や全世界型のインデックスファンドが中心なら、今日の値動きは、日経平均の見出しほどには大きくなかったはずです。日経平均の大きな下げは、指数の仕組みが生んだ「見かけ」の部分を含んでいるからです。

ただし、これは目安です。商品ごとの中身は、運用報告書や販売会社の案内でご確認ください。

見出しに慌てないための、3つの見方

ファイナンシャルプランナーとして、クライアントの皆さんには、いつもこの3つをお伝えしています。

見出しに慌てないための3つの見方

1.「○○円安」の見出しだけで、自分の資産を判断しない

まず見るべきは、指数ではなく、ご自分が実際に持っている中身です。保有している投資信託が何に連動しているかで、今日のような日の影響は、まったく違います。

2. 指数の「クセ」を知っておく

日経平均には、日経平均のクセがあります。クセを知っていれば、「驚くべき日」と、ただの「指数のクセの日」を見分けられるようになります。

3. 動くのは、理由が変わってから

今日の下げは、半導体という特定の分野への警戒が中心でした。積立を止める理由にも、分散を崩す理由にもなりません。

明日11月6日の夜には、アメリカの雇用統計という次の材料もあります。ですが、それも含めて、1日の数字で方針を変えないことが、結局いちばん資産を守ります。

こんな日にやることこんな日にやらないこと
自分の保有商品の中身を確認する見出しだけを見て、あわてて売る
積立設定が続いていることを確認する1日の値動きで積立を止める
心配なときは、数日おいてから考える夜中に何度も残高を見返す

おわりに:慌てない力は、知識から生まれます

数字の見出しは、大きく、速く届きます。でも、仕組みを知っていれば、本当に驚くべき日と、ただの「指数のクセ」の日を、見分けられます。

慌てない力は、知識から生まれます。今日の不思議な一日が、そのきっかけになればうれしいです。

そして、慌てずに資産を守れたら、その先にあるのは、やりたいことを安心してやれる毎日です。皆さんが「幸せ」に近づくお手伝いを、これからもしていきます。


※一般的な情報です。数値は11月5日の終値および報道をもとにしており、特定の商品の購入や売却をすすめるものではありません。投資の判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者