シルバーウィークに鳥羽水族館(三重県鳥羽市)に行ってきました。想像以上の混雑ぶりでしたが、それだけの魅力が詰まった水族館でした。今回は、鳥羽水族館の概要から、実際に行って感じたこと、業績、そしてこれからの課題をまとめてみました。
鳥羽水族館の概要

鳥羽水族館は、飼育種類数約1,200種で日本一を誇る、国内最大級の水族館です。館内は12のテーマゾーンに分かれており、一般的な水族館のように決まった順路をたどるのではなく、自由に見て回れるのが大きな特徴です。
中でも目玉は、国内で唯一飼育しているジュゴン。しかも同じ海牛類のアフリカマナティーとあわせて飼育展示しているのは、世界でもここだけだそうです。ラッコも1977年から飼育を続けており、1984年には日本で初めてラッコの赤ちゃんが生まれ、当時空前のラッコブームを巻き起こしたことでも知られています。
鳥羽水族館のYouTubeが人気の理由
鳥羽水族館は公式YouTubeチャンネルでも高い人気を誇っています。人気の理由はいくつかありますが、大きいのは飼育員と生きものの絆が伝わってくる映像だと感じます。実際、飼育員とラッコが互いを労い合うような仕草がSNSで話題になり、19万を超える「いいね」を集めた動画もありました。
また、開館70周年記念では「飼育係に1日密着」という企画動画も公開され、普段は見られない裏側を知ることができる点も人気の理由でしょう。かわいらしい生きものの姿だけでなく、それを支える人の存在が見える——そんなコンテンツづくりが、多くの人の心をつかんでいるのだと思います。
シルバーウィークに行ってみたら、まさかの大混雑
今回訪れたのはシルバーウィーク。覚悟はしていたものの、想像を超える混雑でした。
- ラッコを見るのに2時間待ち
- ペンギンのお食事タイムもすぐに人だかり
- アシカのショー、トドのショーも、開始前にあっという間に満席に
人気の展示・イベントは軒並み長蛇の列で、1日ですべてをじっくり見て回るのはなかなか難しいほどでした。裏を返せば、それだけ多くの人にとって「一度は見ておきたい」と思わせる魅力があるということでもあります。
鳥羽水族館の観客数
鳥羽水族館の年間入館者数は、直近ではおよそ118万人(2025年)。開館以来の累計入館者数は7,000万人を超えています。国内最大級の飼育種類数を誇る水族館として、コンスタントに多くの来館者を集め続けていることがわかります。
水族館が人気の理由

今回の訪問を通じて感じたのは、日本の水族館、とりわけ鳥羽水族館の人気の理由は「生きものとの距離の近さ」にあるということです。
- タッチプールでの触れ合い体験
- 飼育員による解説やショーを間近で見られる臨場感
- SNS・YouTubeを通じて、来館前から「会いたい」という気持ちを育てられる情報発信
単に生きものを「見る」だけでなく、「触れる」「知る」「応援したくなる」体験をセットで提供していることが、リピーターを生み、世代を超えて愛される理由なのだと思います。
これからの鳥羽水族館の課題
一方で、大きな課題も抱えています。象徴的なのがラッコの減少です。
- 1994年のピーク時には全国28施設で122頭のラッコが飼育されていましたが、現在は全国でわずか数頭にまで激減
- 主な生息地である米国からの輸入は、保護規制により四半世紀にわたり途絶えており、国内での繁殖も難しい状況
- 鳥羽水族館でも、かつて最多6頭いたラッコが、現在は高齢の2頭のみ。飼育下での寿命は20年ほどとされ、世代交代のめどが立たないまま、日本の水族館からラッコが消えてしまう可能性が現実味を帯びています
ラッコに限らず、輸入規制や動物福祉への配慮が世界的に強まる中、「珍しい生きものを集めて見せる」という従来型の水族館運営そのものが、岐路に立たされていると言えます。
これからの理想像

こうした状況を踏まえると、これからの水族館に求められるのは、「見せる水族館」から「守る・伝える水族館」への転換だと感じます。
- 希少な生きものの保護・繁殖研究への貢献
- 飼育下でしか伝えられない生態や、絶滅の危機にある現実を来館者に「知ってもらう」教育的な役割
- 体験型の魅力はそのままに、保全活動への理解や支援につなげる仕組みづくり
「かわいい」「楽しい」という入り口から、生きものを取り巻く環境問題や保全の大切さへと関心を広げていく——そんな役割を、鳥羽水族館のような発信力のある水族館には期待したいところです。
海外の水族館との違い

海外の水族館では、海洋生物の救助・保護・治療が運営の大きな柱になっているケースが多く見られます。一方、日本の水族館は、タッチプールでの触れ合いや餌やり体験など、来館者と生きものとのインタラクティブな体験を重視する傾向が強いのが特徴です。
どちらが優れているというより、役割の違いだと感じます。海外は「保全の最前線」としての性格が強く、日本は「生きものとの距離を縮め、興味関心の入り口をつくる」場としての性格が強い、というイメージです。ただし、ラッコの例のように希少種の維持が難しくなる中、日本の水族館も今後は海外的な「保全」の視点を、これまで以上に取り入れていく必要があるのではないかと感じました。
まとめ
- 鳥羽水族館は飼育種類数約1,200種で日本一。国内唯一のジュゴン飼育や、世界唯一のジュゴン・アフリカマナティー同時飼育展示が目玉
- YouTubeでは飼育員と生きものの絆が伝わる映像が人気を集めている
- シルバーウィークは大混雑で、人気の展示・ショーは軒並み長蛇の列
- 年間入館者数は約118万人、開館以来の累計は7,000万人超
- 人気の理由は「生きものとの距離の近さ」だが、ラッコに象徴されるように希少種の維持という大きな課題も抱えている
- 海外水族館の「保全」の視点と、日本の水族館の「体験」の強みを両立させていくことが、これからの理想像だと感じた
本記事は筆者が実際に鳥羽水族館を訪れた際の感想と、公開情報をもとにまとめたものです。入館者数や飼育状況などの数値は、参照時点の情報であり、今後変動する可能性があります。最新情報は鳥羽水族館の公式サイトでご確認ください。
参考にしたサイト
鳥羽水族館 公式サイト
施設概要|鳥羽水族館 公式サイト
水族館の人気者消える?ラッコは国内2頭に 「見せる」から「守る」へ|日本経済新聞
飼育種類数日本一の国内最大級の鳥羽水族館(三重県)でかわいい生きものにキュン|るるぶKids
