「新TOPIX」がいよいよ始動——何が変わり、どんな銘柄が入れ替わるのか

日本経済新聞でもたびたび取り上げられている「新TOPIX」。2026年10月から本格的にスタートするこの見直しは、日本を代表する株価指数の性格を大きく変える出来事です。オルカン(全世界株式)やTOPIX連動型の投資信託を持っている方にも関係するテーマですので、10分程度で読める形に、概要・スケジュール・具体的な採用/除外銘柄の傾向・他国指数との違いまでまとめました。

そもそもTOPIXとは何か(おさらい)

TOPIX(東証株価指数)は、東京証券取引所プライム市場に上場するほぼすべての銘柄を対象とした、時価総額加重平均型の株価指数です。日経平均株価(日経225)が225銘柄を選んで算出するのに対し、TOPIXは「プライム市場全体の値動き」を映す指数として、多くのインデックスファンドや年金基金の運用対象になってきました。

新TOPIXの概要——何が変わるのか

これまでのTOPIXは、「プライム市場に上場していれば原則として組み入れられる」という、かなり広範な構成になっていました。しかし東証は2022年4月の市場区分再編をきっかけに、TOPIXを流動性(実際に活発に売買されているかどうか)を重視した指数へと作り替える見直しを進めてきました。

見直しは2段階で行われています。

  • 第1段階(〜2025年1月):流通株式時価総額100億円未満の銘柄の比率を段階的に引き下げ、構成銘柄数を約2,100から約1,700に絞り込み
  • 第2段階(2026年10月〜2028年7月):プライム・スタンダード・グロースの全市場区分を対象に、流動性をより重視した基準で定期的に銘柄を入れ替え。最終的に構成銘柄数は約987銘柄(現在の6割程度)まで絞り込まれる見通し

つまり新TOPIXは、「プライム市場に上場していればほぼ自動的に入れる指数」から、「一定の流動性基準をクリアした銘柄だけで構成される指数」へと性格が変わるということです。

いつから始まるのか

新TOPIXは2026年10月末から本格的に始動します。その後も年に数回の定期入れ替えを重ねながら、2028年7月にかけて段階的に銘柄数が絞り込まれていくスケジュールになっています。一気に切り替わるのではなく、数年がかりで徐々に移行していく点がポイントです。

どのような基準で採用・除外が決まるのか

新TOPIXの銘柄選定では、主に次の2つの基準が使われます。

  • 売買代金回転率:一定期間にどれだけその銘柄が活発に売買されているかを示す指標。おおむね「0.14以上」が目安とされています
  • 浮動株時価総額の累積比率:市場に流通している株式(大株主や持ち合いなどを除いた「浮動株」)の時価総額を大きい順に積み上げ、市場全体の上位何%以内に入るかを見る基準。新規採用は累積上位96%程度以内、既存銘柄が居続けるための継続基準は97%程度以内と、新規採用の方がやや厳しく設定されているのが特徴です

この2つの基準を両方クリアした銘柄が新TOPIXの構成銘柄になり、逆にどちらかを満たせなくなった銘柄は指数から外れる、という仕組みです。

具体的にどのような銘柄が対象になるのか

新規採用が期待される銘柄として、証券各社のシミュレーションでは次のような企業の名前が挙がっています。

  • 日本マクドナルドホールディングス(スタンダード市場)
  • セリア(100円ショップ運営)
  • GO(タクシー配車アプリ)
  • タイミー(スキマバイトサービス)

これらはいずれも、これまでプライム市場ではない市場区分(スタンダード・グロース)に上場していたため旧TOPIXの対象外でしたが、新TOPIXでは市場区分を問わず、流動性基準さえ満たせば採用されるようになります。証券各社の試算では、こうした「新規組み入れ期待銘柄」が35社程度見込まれています。

どのような銘柄がTOPIXから外れるのか

一方、除外候補として名前が挙がっているのは、創業家や親会社、企業同士の「持ち合い株」の比率が高く、市場に流通している株式(浮動株)が少ない銘柄です。具体的には次のような企業が挙げられています。

  • ブックオフグループホールディングス
  • WOWOW
  • エステー
  • 大幸薬品
  • 沖縄セルラー電話

証券会社の試算では、除外候補となる「移行措置銘柄」は600社を超える規模になるとみられています。プライム市場に上場していても、実際の売買が少なく、大株主による安定株主比率が高い企業ほど、新TOPIXからは外れやすくなる構図です。

今後どうなるのか

新TOPIXへの移行は、日本の株式市場にいくつかの構造変化をもたらすと見られています。

  • インデックスファンドの売買代金が動く:TOPIX連動型の投資信託やETF(新TOPIXに連動する資産だけで約140兆円規模とされます)は、指数の入れ替えにあわせて機械的に銘柄を売買するため、新規採用・除外の対象になった銘柄では、一時的に大きな売買が発生しやすくなります
  • 上場企業に流動性向上への意識づけ:これまでTOPIX入りが「プライム上場のおまけ」のようになっていた状況から一転、企業自身が「自社株買いの見直し」「政策保有株の売却」など、浮動株を増やす経営努力をするインセンティブが生まれます
  • 「TOPIXに残るための努力」が企業行動を変える:日本経済新聞でも「TOPIXに残りたい」企業の努力が取り上げられているように、新TOPIXは単なる指数改定にとどまらず、上場企業のガバナンスや資本政策そのものに影響を与える改革として位置づけられています

他国の同じような指数との違い

新TOPIXの考え方は、実は海外の主要株価指数の作り方に近づいたとも言えます。

  • S&P500(米国):時価総額や流動性などの基準を満たした候補の中から、最終的には指数委員会が銘柄を選定する仕組みです。機械的なルールだけでなく、人の判断(収益性の審査なども含む)が加わる点が特徴です
  • FTSE Russell・MSCI系指数(英国等):浮動株時価総額や流動性を基準に、ルールベースで構成銘柄を決める点は新TOPIXと共通しています。「市場に出回っている株式の量」を重視する考え方は、世界の主要指数で標準的な手法です

これまでのTOPIXは、こうした海外の指数と比べて「プライム市場のほぼ全銘柄を機械的に含める」という、世界的にも珍しい"広く網羅する"タイプの指数でした。新TOPIXへの移行は、こうした独自路線から、海外の主要指数と同じように「流動性の高い銘柄だけを選ぶ」という国際標準の考え方に近づく変化だと理解すると分かりやすいと思います。ただし、S&P500のように人(委員会)の判断が入るのではなく、新TOPIXはあくまで機械的なルールに基づいて銘柄を決める点は、引き続きTOPIXらしい特徴として残ります。

まとめ

  • 新TOPIXは2026年10月から本格始動し、2028年7月にかけて段階的に構成銘柄数が現在の6割程度(約987銘柄)まで絞り込まれる
  • 採用・継続の基準は「売買代金回転率」と「浮動株時価総額の累積比率」の2つ。流動性の低い銘柄は市場区分を問わず外れやすくなる
  • 新規採用期待銘柄には日本マクドナルドホールディングス、セリア、GO、タイミーなどスタンダード・グロース市場の企業が挙がっている
  • 除外候補にはブックオフ、WOWOW、エステー、大幸薬品など、創業家・親会社・持ち合いによる固定株が多いプライム市場の企業が挙がっている
  • 新TOPIXは、S&P500やFTSE・MSCI系指数など海外の主要指数に近い「流動性重視・選別型」の指数へと性格を変える改革であり、企業の資本政策やガバナンスにも影響を与える

TOPIX連動型の投資信託をお持ちの方は、今回の見直しによって保有する投資信託の中身(構成銘柄)が変わっていくことになります。大きな暴落や損失につながるものではありませんが、「どんな銘柄が入れ替わっているのか」を知っておくと、日々のニュースの見方も変わってくるはずです。


本記事は日本経済新聞をはじめとする各種報道および日本取引所グループ(JPX)の公表資料をもとに、筆者の見解を交えてまとめたものです。採用・除外候補として挙げた銘柄は、報道時点でのシミュレーション・予想であり、実際の入れ替え結果を確定的に示すものではありません。最新の正式な構成銘柄情報は、日本取引所グループ(JPX)の公式発表でご確認ください。

参考にしたサイト
10月から「新TOPIX」がスタート 2つの基準満たす銘柄が採用|日本経済新聞
新TOPIX、企業の競争促す マクドナルドやタイミーなど35社採用期待|日本経済新聞
「TOPIXに残りたい」ギリギリ企業の挑戦 ヤマ場の東証指数改革|日本経済新聞
TOPIXの見直しの概要|日本取引所グループ(JPX)

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者