半導体株だけじゃない——いま高配当株に注目すべき理由と、知らないと危ない「高配当の罠」

2023年以降、日本の株式市場は半導体・AI関連株の熱狂に沸きました。

日経平均株価は最高値を更新し続け、「株といえば半導体」というイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。

しかし2026年に入り、その勢いに一服感が出てきています。

かわって注目を集めているのが、以前はほとんど見向きもされなかった「高配当株」です。

この記事では、なぜ今高配当株が見直されているのか、そして高配当株投資で見落としがちな「罠」について、図表を交えて分かりやすく解説します。

半導体株の熱狂と、その先にあるもの

2023年以降、日経平均株価はAI・半導体関連株に牽引される形で上昇を続け、2026年には7万円台の高値圏に達しました。

しかし、株価が高値圏にある今、成長株(グロース株)への一極集中から、割安なバリュー株・高配当株へ資金が移動する「セクターローテーション」が起きているとの見方が広がっています。

これまで
(2023〜2025年)
📈 半導体・AI関連株
グロース株に資金集中
これから
(2026年〜)
💰 割安な高配当バリュー株
への資金シフトの兆し

そもそも半導体株は「高配当」ではない

「半導体株は儲かる」というイメージから、配当も高いと思われがちですが、実際は逆です。

半導体主力株の配当利回りはおおむね0.2〜2%台にとどまります。多くの投資家が半導体株を買う目的は配当ではなく、値上がり益(キャピタルゲイン)だからです。

銘柄タイプ配当利回りの目安投資家が期待するもの
半導体・AI関連株
(グロース株)
0.2〜2%台株価上昇によるキャピタルゲイン
通信・銀行・鉄鋼・海運など
(バリュー株)
3〜5%台が中心継続的な配当収入(インカムゲイン)

「人気がないから高配当」という構造を理解する

ここでよくある誤解を解いておきたいのが、「高配当株は優良企業だから配当が高い」というイメージです。

実際には、配当利回りは次の式で決まります。

配当利回り(%) = 1株あたり配当金 ÷ 株価 × 100

この式が示す通り、配当金の金額が同じでも、株価が上がらず放置されている(人気がない)銘柄ほど、見かけの利回りは高くなります

かつて通信株や銀行株、鉄鋼株、海運株などは「地味で成長性がない」と見向きもされず、株価が長らく低迷していました。

しかし配当自体は安定して出し続けていたため、結果として利回りが高く見える状態になっていたのです。

2026年、実際に野村證券の個人投資家による人気高配当株ランキング(2026年4月〜6月、予想配当利回り3%以上の銘柄が対象)では、NTT(9432)が1位となるなど、通信・金融・鉄鋼といった「かつての地味株」に資金が集まっていることが確認されています。

高配当株の罠——注意すべき5つのポイント

ただし、「利回りが高い株を買えば安心」というわけではありません。高配当株には見落としがちな「罠」があります。

減配(配当を減らすこと)が発表されると、配当収入が減るだけでなく、株価も同時に下落するという「二重の損失」を受けるリスクがあるのです。

チェック項目危険サイン安全の目安
①配当利回り7%超は要注意
(株価下落の結果である場合が多い)
3〜5%程度が持続性の目安
②配当性向70〜80%超は無理をしているサイン利益の範囲内で無理なく配当
③配当の推移過去に大きく減配した実績があるリーマンショック・コロナ禍でも維持
④財務健全性自己資本比率が低く、借金が多い自己資本比率40%以上が目安
⑤業種特性海運・鉄鋼・石炭など景気敏感業種は不況期に急減配しやすい業種の景気サイクルを理解した上で保有

高配当株を選ぶときのチェックリスト

☐  配当利回りが7%を超えていないか確認する(高すぎる利回りはむしろ危険信号)
☐  配当性向が70〜80%を超えていないか確認する
☐  過去10〜15年の配当推移を確認し、リーマンショックやコロナ禍でも維持していたか見る
☐  自己資本比率(財務の健全性)を確認する
☐  特定の業種・銘柄に集中しすぎず、複数のセクターに分散する

まとめ

半導体・AI関連株の熱狂が続いた反動で、これまで「地味」「成長性がない」と見向きもされなかった高配当株に、いま改めて注目が集まっています。

しかし、「利回りが高い=良い銘柄」とは限りません。高い利回りの裏には、株価低迷や業績悪化など「人気がない理由」が潜んでいることもあります。

配当利回りだけで判断せず、配当性向・財務健全性・業種特性まで確認した上で、着実な資産形成を目指しましょう。

高配当株投資やポートフォリオの組み方について不安な点があれば、お気軽にFPやまぎしにご相談ください。

参考情報

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者