私は金融機関に勤めながら、FP(ファイナンシャルプランナー)として副業をしています。本業とは全く異なる「自分が選んだ仕事」の喜び、初めてお客様に感謝された瞬間の感動——それは本業では味わえない種類の充実感でした。もちろん、いいことばかりではありません。収益が伸び悩む月も、時間が足りない夜も、確定申告の煩雑さに頭を抱える季節もあります。この記事では、副業を実際に経験しているFPとして「本当のこと」を包み隠さずお伝えします。そして最後に、ひとつお願いがあります。ぜひ、あなたにも副業を試してほしいのです。
📊 副業をしている人は今どれくらいいるのか
まず現実を数字で見てみましょう。総務省の就業構造基本調査によれば、副業者数は過去10年で急増しています。
| 年 | 副業者数(総務省調査) | 副業者比率 | 企業の副業容認率 |
|---|---|---|---|
| 2012年 | 約234万人 | 3.6% | ― |
| 2017年 | 約268万人 | 4.0% | ― |
| 2020年 | ― | ― | 約49.5% |
| 2022年 | 約332万人 | 5.0% | ― |
| 2023年 | ― | ― | 約61% |
| 2024年 | ― | 約8.4%(民間調査) | ― |
| 2025年 | ― | 約11%(正社員・民間調査) | 約64% |
2012年から2022年の10年間で副業者数は約4割増(234万人→332万人)。さらに民間調査では2025年時点で正社員の11人に1人が副業実施中。「副業はマイノリティ」という時代は終わりつつあります。企業側の副業容認率も2020年の49.5%から2025年には64%へと急上昇しており、「副業禁止」は今や少数派になりつつあります。
🏛️ ついに公務員も副業の時代へ
「公務員は副業禁止」というイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実はここ数年で大きな変化が起きています。
国家公務員:2026年4月から自営業の兼業が解禁
- 2026年4月から、国家公務員が趣味・特技を生かした自営業の兼業が可能に(人事院通知)
- 対象例:手芸品の販売・スポーツや芸術関係の教室開業・地域振興イベントの主催・高齢者の買い物代行など
- 条件:開業届の提出+事業計画の作成、職務との利害関係がないこと、公務の品位を損なわないこと
- 各府省庁が個別審査・承認する形式
地方公務員:2025年6月から一部解禁
- 2025年6月の総務省通知により、任命権者の許可があれば営利活動も一定条件下で許可
- 「社会貢献的な副業(農業支援・NPO活動・地域振興など)」は以前から容認されていた
- 今後さらなる緩和が進むことが予想される
「公務員でも副業ができる時代」が来た。これは日本社会全体での「副業を前向きに捉える」姿勢の変化を象徴しています。民間企業に勤める私たちが、副業を躊躇う理由はもはや薄れています。
✅ 副業のメリット(収益・税制・気持ち)
💰 収益面のメリット
- 収入の複線化:本業の給与だけに依存しない「収入の柱を複数持つ」安心感。リストラ・病気・会社倒産リスクへの備えになる
- 収入上限がない:本業は会社が決めた給与規定内。副業は自分の努力・工夫次第で収入が増やせる
- スキルが収益になる:FP・プログラミング・デザイン・ライティングなど、本業で培った専門知識が副業では直接報酬に変わる
- 老後の準備:副業収入でiDeCo・NISAへの積立を増やせる。将来の資産形成が加速する
📋 税制面のメリット
- 青色申告特別控除(最大65万円):副業で開業届を出し青色申告すれば、所得から最大65万円を控除できる。年収500万円なら実質的に数万円〜十数万円の節税効果
- 経費計上できる:副業に使ったPCや書籍・セミナー費用・交通費・通信費などを「必要経費」として収入から差し引ける
- 赤字の通算:副業が赤字の場合、確定申告をすれば本業の給与所得と損益通算でき、源泉徴収された所得税が還付される場合も
🌱 気持ち面のメリット(これが一番大きい)
- 「自分で選んだ仕事」の充実感:会社から与えられた仕事ではなく、自分が選んだ仕事をする喜び。この感覚は、本業だけを続けていたら一生味わえなかったかもしれません
- お客様の顔が見える:私がFP副業で最初に感じたのは、「お客様の笑顔が直接見える」喜びでした。「ありがとう」のひとことの重さが本業と全然違う
- 視野と人脈が広がる:本業だけでは会わなかった業界・年代・価値観の人と繋がれる。これが最大の財産になることも
- 自己肯定感が上がる:副業で結果が出ると「自分にはこれができる」という自信が生まれ、本業のパフォーマンスも上がる
⚠️ 副業のデメリット(正直に話します)
💰 収益面のデメリット
- 最初は稼げない:ほとんどの副業は「最初の半年〜1年は赤字または微収益」が現実。私も最初は全く稼げなかった時期があります
- 収入が不安定:本業の給与は毎月確実に振り込まれる。副業は月によって大きく変動し、精神的な安定を保つのが難しい時期もある
- 時間対コスト:副業に使った時間を時給換算すると、最初のうちは最低賃金以下になることも多い
📋 税制面のデメリット
- 確定申告が必要:副業所得が年間20万円を超えると確定申告が必要。初めての申告は想像以上に手間と時間がかかる
- 住民税に注意:副業所得が20万円以下でも、住民税の申告は別途必要。ここを見落とすと無申告扱いになりペナルティが発生することも
- 会社にバレるリスク:副業収入が増えると住民税額が上がり、会社の経理担当者に「収入が多い」と気づかれる可能性がある。副業禁止の会社では要注意
- 社会保険料の増加:副業所得が増えると国民健康保険料や介護保険料に影響する場合がある
😓 気持ち面のデメリット
- 時間が足りない:本業+副業のダブルワークは想像以上に疲弊する。特に最初の1〜2年は「寝る時間が削られる」感覚があった
- 孤独感:会社の同僚に話せない・副業仲間がいないと、壁にぶつかったときに一人で悩みを抱えることになる
- 本業との板挟み:本業で繁忙期になると副業が全くできなくなる時期もある。このギャップに苦しむ時期は必ず来る
- 収益が伸び悩む辛さ:「こんなに頑張っているのになぜ?」と思う月が続くと、やめたくなる気持ちが芽生える。正直、私にもそういう時期がありました
💡 副業を成功させる3つの心構え
- 最初の1年は「学習期間」と割り切る:収益より経験を優先。失敗しても得るものがある。副業は「スモールビジネスの学校」だと思えば、うまくいかない時期も意味を持ちます
- 本業を絶対に疎かにしない:副業は本業の「延長線上」。本業での信頼・スキル・人脈が副業の土台になる。本業を犠牲にした副業は長続きしない
- 小さく始めて、少しずつ大きくする:月5,000円でも、月1万円でも、「副業をしている」という事実と習慣が重要。最初から大きな収益を目指さない
📌 FPとして考える「副業を始める前に確認すべきこと」
- ✅ 会社の就業規則を確認する:「副業禁止」「届出制」「許可制」を事前に確認。違反は懲戒処分の対象になる可能性がある
- ✅ 副業収入の目標と時間投資を設定する:「月にいくら稼ぎたいか」「週に何時間使えるか」を現実的に計算する
- ✅ 開業届・青色申告申請を検討する:副業収入が見込めるなら、税制優遇のある青色申告の仕組みを早めに整える
- ✅ 確定申告・住民税申告の仕組みを理解する:副業所得20万円超→確定申告必要。20万円以下でも住民税申告は必要
- ✅ 副業収入を「稼いだそばから使わない」:副業収入は翌年の税金・社会保険料の支払いが増える可能性がある。一定割合を確保しておく
✨ それでも、副業をおすすめする理由
「難しい」「リスクがある」「大変だ」——すべて本当のことです。でも、私がFPとして副業を続けているのは、それを上回る何かがあるからです。
お客様の人生の転機に関わる仕事をしていると、「自分の存在が誰かの役に立っている」という実感があります。それは会社員として給与をもらうこととは、根本的に異なる喜びです。本業だけの人生では気づかなかった「自分の可能性」に、副業を通じて気づきました。
副業を始めるのに、特別な才能は必要ありません。必要なのは「一歩踏み出す勇気」と「小さく続ける習慣」だけ。日本の副業人口はまだ5〜11%。まだまだ少数派だからこそ、今始めると先行者利益があります。
ぜひ、あなたにも副業を試してほしい。失敗しても、経験は必ず財産になります。
まとめ:8ポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| ① 副業者は急増中 | 2022年で332万人・比率5%、2025年には正社員の11%が実施 |
| ② 公務員も解禁 | 国家公務員は2026年4月から自営業兼業が可能に |
| ③ 収益メリット | 収入の複線化・スキル収益化・資産形成加速 |
| ④ 税制メリット | 青色申告控除65万円・経費計上・赤字の損益通算 |
| ⑤ 税制注意点 | 20万円超→確定申告必要。20万円以下でも住民税申告必要 |
| ⑥ 気持ちの喜び | 「自分で選んだ仕事」の充実感・視野と人脈の拡大 |
| ⑦ 気持ちの辛さ | 時間不足・孤独感・収益伸び悩みは誰でも経験する |
| ⑧ 結論 | 小さく始めて続けることが最大の武器。ぜひ挑戦を! |
出典・参考文献
- 総務省統計局「令和4年 就業構造基本調査 結果の要約」https://www.stat.go.jp/data/shugyou/2022/pdf/kyouyaku.pdf
- 厚生労働省「副業・兼業の現状と課題」https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11201000-Roudoukijunkyoku-Soumuka/0000179562.pdf
- パーソルキャリア「副業の実態調査2024」https://www.persol-career.co.jp/newsroom/news/research/2024/20240129_1315/
- リクルート「兼業・副業に関する動向調査2024」https://jbrc.recruit.co.jp/data/data20250529_3778.html
- 日本経済新聞「国家公務員、趣味生かした自営業可能に 26年4月から兼業規制を緩和」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA19AD90Z11C25A2000000/
- 人事院「自営兼業制度の見直しについて」https://www.jinji.go.jp/kouho_houdo/kisya/2512/jieikengyo_00001.html
- 国税庁「副業の確定申告」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
- 労働政策研究・研修機構(JILPT)「副業者の就労に関する調査」(2024年)https://www.jil.go.jp/institute/research/2024/245.html
