「金利のある世界」がやってきた——預金・個人向け国債・住宅ローン、いま家計は何をすればいい?

こんにちは、独立系FPの山岸です。最近、ニュースで「金利」という言葉を聞かない日がなくなりました。10月に入ってからは、「10年国債の利回りが約30年ぶりに3%に達した」という報道もありましたね。「金利が上がっているのは何となくわかるけれど、うちの家計はどうすればいいの?」と、不安に思っている方も多いと思います。

私は、お客様の資産を「増やし、守る」ことをいちばん大切にしているFPです。今日は、難しい言葉をできるだけ使わずに、金利が上がっている今、預金・個人向け国債・住宅ローンを、どう考えればいいのかを、やさしく整理してみます。10分ほどで読めますので、お茶でも飲みながら、ゆっくりお付き合いください。

今、何が起きているのか——数字で整理します

まずは、いまの金利まわりの数字を、ひとつの表にまとめます。

項目今の水準(報道ベース)
日銀の政策金利1.25%程度(9月に引き上げ)。10月29〜30日の会合では、据え置く公算が大きいと報じられている
10年国債の利回り約30年ぶりに3%に到達と報じられている
個人向け国債(10月募集)変動10年:2.05%/固定5年:2.39%/固定3年:2.07%(いずれも税引前)
定期預金(1年)メガバンク年0.5%前後
定期預金(1年)ネット銀行年1.5%超の銀行もあり、最高は年1.87%(新規口座開設の条件つき)
住宅ローン(変動金利・新規)メガバンク1.33%/地方銀行1.51%/ネット銀行1.60%(モゲチェック集計)

「金利のある世界」とは、預けるお金にも、借りるお金にも、ちゃんと金利がつく世界のことです。預ける人にとっては追い風、借りる人にとっては向かい風。ですから、ご自身が「預ける側」か「借りている側」か、あるいは両方か、を意識するところから始めましょう。

預金は、どれくらい差がつくの?

100万円を1年間、定期預金に預けた場合の利息を比べてみます。

預け先の例金利(年)利息(税引前)利息(税引後)
メガバンクの定期預金0.5%5,000円約3,984円
ネット銀行の定期預金1.5%15,000円約11,953円
ネット銀行(最高水準・条件つき)1.87%18,700円約14,901円

※利息には、約20.315%の税金がかかります。

同じ100万円でも、預ける銀行によって、1年で1万円ほどの差が出ます。ただし、高い金利の多くは、新規口座開設の方限定、預入期間や金額の条件つきです。申し込む前に、各銀行の公式サイトで、最新の条件を必ず確認してください。なお、預金は、1つの金融機関につき、元本1,000万円とその利息までが、預金保険で守られます。大きな金額を預ける場合は、分けて預けることも、検討してみてください。

個人向け国債は、今どうなの?

次に、「安全で、預金より金利が高い」と注目されている個人向け国債です。10月募集は、10月30日(金)までで、今日からあと8日です。

種類利率(税引前)金利の決まり方向いている方
変動10年2.05%半年ごとに見直し。今後、金利が上がれば、受け取る利子も増えるこれからも金利が上がりそうだと考える方、長く持てる方
固定5年2.39%満期まで同じ利率いまの高めの金利を、5年間確定させたい方
固定3年2.07%満期まで同じ利率3年以内に使う予定がある方

100万円を1年間持った場合の利子を、試算してみます。

種類利子(税引前)利子(税引後)
変動10年(2.05%)20,500円約16,335円
固定5年(2.39%)23,900円約19,045円

知っておきたい注意点

  • 発行日は11月16日。申し込んでも、すぐに現金が戻るわけではありません
  • 発行から1年間は、原則として、途中で現金化できません
  • 1年を過ぎれば、いつでも現金化できます。ただし、直前2回分の利子(税引前)の約8割にあたる金額が、差し引かれます。元本は、割れません
  • 利子には、約20.315%の税金がかかり、NISAのような非課税制度は使えません
  • 「変動10年」の利率は、半年ごとに見直されます。金利が下がれば、受け取る利子も下がります

個人向け国債は、国が元本を保証してくれる、とても安心な商品です。ただし、「1年は動かせない」「大きく増えるわけではない」という点は、あらかじめ理解しておきたいですね。

住宅ローンを借りている方へ

ここまで「預ける側」の話をしてきましたが、住宅ローンを変動金利で借りている方は、気になるところだと思います。10月は、日銀の利上げを受けて、多くの銀行が、新規で借りる方の変動金利を引き上げました。

すでに借りている方の金利への反映は、一般に、時間差があります。短期プライムレートの改定を受けて、半年ごとの見直しのタイミング(来年4月前後になることが多いと報じられています)で、反映されるのが一般的です。銀行によって、ルールが違いますので、ご自身の契約を確認してください。

参考までに、借入3,000万円・返済期間35年(金利がずっと同じと仮定)の場合、金利によって、毎月の返済額がどう変わるかを、試算してみました。

金利毎月の返済額(目安)1%のときとの差
1.0%約84,700円―
1.5%約91,900円約+7,200円
2.0%約99,300円約+14,600円
2.5%約107,200円約+22,500円

金利が1%上がると、毎月1万円以上、返済が増えるイメージです。「そんなに上がらないだろう」と思っていても、「もし上がったら、家計が耐えられるか」を、一度、確認しておくと安心です。

お金の「置き場所」を、目的で考える

金利が上がっているからといって、慌てて動く必要はありません。私が、お客様にお伝えしているのは、「お金は、使う時期で置き場所を分ける」という考え方です。

お金の目的使う時期おすすめの置き場所の考え方
生活防衛資金(生活費の半年〜1年分)いつでも普通預金や、すぐ引き出せる預金。金利の高いネット銀行も選択肢
数年以内に使うお金(教育費・車・リフォームなど)1〜5年定期預金、個人向け国債(固定)。元本が減らないことを重視
10年以上使わないお金(老後資金など)10年以上先NISAなどを使った、長期の資産運用。私のスタンスは、シンプルに「現金」と「オルカン(全世界株式)」
住宅ローンの返済毎月返済に余裕があれば、繰り上げ返済も。金利上昇に備える

私は、保険は必要最小限に、資産運用はシンプルに、という考え方でお客様と向き合っています。金利が上がって、預金や国債の魅力が増したいまだからこそ、「何のためのお金か」を、もう一度整理してみてください。

今日からできる、5つのチェック

やることポイント
①自分の預金を、目的別に分ける生活費・数年以内に使うお金・長期のお金の3つに分けてみる
②銀行の金利を、見直してみる普通預金のまま眠っているお金がないか。ただし、条件つきの金利は、内容をよく確認する
③個人向け国債を検討するなら、10月30日までに発行は11月16日。1年間は動かせないことを、理解してから
④住宅ローンの金利と、見直しのルールを確認する変動金利の方は、「金利が1%上がったら、毎月いくら増えるか」を試算しておく
⑤「焦って全部を動かさない」キャンペーンや、ニュースに、流されない。迷ったら、専門家に相談する

まとめ

  • 金利は、預金にも、国債にも、住宅ローンにも、上昇の動きが出ている。「金利のある世界」は、預ける人には追い風、借りる人には向かい風
  • 預金は、金利の高いネット銀行で、同じ100万円でも1年で1万円ほどの差が出る。ただし、条件を確認すること。預金保険は、1金融機関につき元本1,000万円までとその利息
  • 個人向け国債(10月募集)は、10月30日まで。発行は11月16日で、1年間は原則、現金化できない。利子には税金がかかる
  • 住宅ローンは、変動金利が上昇する方向。金利が1%上がると、3,000万円・35年で、毎月約1.5万円(1.0%→2.0%で約14,600円)の差が出る目安
  • お金は「使う時期」で置き場所を分け、焦らず、シンプルに考える

金利が上がる時期は、新しいチャンスでもあり、不安も増える時期です。でも、慌てる必要はありません。一つひとつ、ご自身の家計に当てはめて、確認していけば大丈夫です。もし迷ったら、いつでも、ご相談ください。


本記事は、2026年10月22日時点の報道および公開情報をもとに、独立系FPの山岸が、個人の見解を交えてまとめたものです。金利・キャンペーン・制度の内容は変更される場合があります。数値は報道・比較サイトなどに基づく目安で、試算は条件を単純化したものです。特定の金融商品の勧誘や、投資の助言ではありません。実際のお取引は、各金融機関・財務省の最新の情報をご確認のうえ、ご自身の責任で判断してください。

参考にしたサイト
「金利ある世界」に眠る家計資産|日本経済新聞
日銀、次の利上げはいつ? データで占う金融政策|日本経済新聞
個人向け国債の今後の見通しとは?2026年10月の金利動向|マネイロメディア
【2026年10月版】メガバンクの定期預金金利ランキング|マネープロ
【2026年10月版】ネット銀行の定期預金金利ランキング|マネープロ
住宅ローン金利2026年10月の最新動向|モゲチェック

この記事を書いた人

fp.yamagishi

金融機関に勤務しながら、副業でファイナンシャル・プランナーをしています。大学卒業後に金融機関に勤め、10年勤務した後、同業に転職。
25年以上の金融機関勤務経験を活かし、皆さんの資産運用・お金の問題を支援できましたらと考えています。

【資格】
・ファイナンシャルプランナー(CFP)
・FP技能検定1級取得
・貸金業取扱主任者